賃貸マンション設計のプロセス 2〜依頼から費用計画・利回りの計画へ〜|東京の建築設計事務所

前回は「賃貸マンション設計のプロセス 1〜高い賃料・高い入居率のプロジェクト〜」の話でした。

杉並の集合住宅:外観
目次

プロジェクトの資金計画

当初から「周辺相場より高めの賃料」で満室となった杉並の集合住宅。

築年数3年後「さらに賃料を上げた」にもかかわらず、満室が続きました。

その事実から、私たちのデザインに価値を見出して頂いた不動産会社M社の若き社長。

石神井公園に
新築するマンションの設計をお任せしたい!

有り難う
ございます!

大変嬉しいことです。

建築費が数億円かかるマンション建築は、私たちが頂戴する設計・監理費も、それなりの金額となります。

コストのことは、早めに話をつけておく必要があります。

設計・監理費は
〜万円ほど、お願いできますか?

うん。
それで良い。

建主に事前に
伝えるが、問題ないだろう。

有り難う
ございます!

これで、設計監理のご契約の方針が決まりました。

建築費なんだが、
坪〜万円くらいを目安としてもらいたい。

承知しました。

これで、プロジェクトの資金計画の概要がまとまりました。

具体的資金計画と設計

戸建住宅でもマンション・幼稚園などの大規模建築でも、「だいたいの工事費の目算」は大事です。

支払う建主にとって、

工事費が〜万円で、
設計監理費が〜万円・・・

その他、諸経費いれて、
合計〜万円程度必要か・・・

こういう目算は極めて大事なことです。

自己資金で建築する戸建住宅等であれば、

多少、
コストがアップしても、良い住まいに住みたい!

という建主の方もいらっしゃいます。

杉並の集合住宅:住まいとテラス

一方で、そもそも「借入が前提」であることが多い賃貸マンション新築のプロジェクト。

建築に際しては「設計が大事」であることは当然ですが、資金計画も同等に大事なことです。

そこで、建主にとっては、「おおまかな資金計画」が大前提となります。

資金計画は、紹介いただいたM社の方が作成します。

計画地に「どの程度の建物が建つのか」がまず大事になります。

この「どの程度の建物が建つのか」に関して、私たちに問い合わせがあることもあります。

多くの場合は、不動産会社が「ある程度の情報」をすでに持っていて、それをもとに資金計画を立てます。

建築費を坪〜万円程度で、
建築して・・・

全体の床面積に対して、
貸室面積が〜位で・・・

賃料が
坪〜万円くらいで・・・

と考えると、「だいたいの利回り」が計算できます。

利回りがある程度確保され、私たちが「その範囲内の建築費での価値ある設計」がご提供できる確認後、

設計・監理ご契約を
お願い致します。

承知しました。
お願いします。

工事費の目算と合理的設計:設計施工との違い

この大事な資金計画。

建主にとって、最も具体的で分かりやすいのは「設計施工での契約」かもしれません。

設計施工での契約は、「ある程度まとまったプランと建築費」をもとに建主と施工会社が契約を結びます。

基本的にその資金計画でプロジェクト完了まで進むので、建主側から見ると、

具体的な
資金計画が分かり、安心・・・

となります。

石神井公園の集合住宅:計画地(新建築紀行)

対して、私たちが請け負うのは「設計・監理のみ」なので、建築は専門の施工会社にお任せします。

そのため、「建築費は概算」となります。

建築費を算定・見積し、建主と契約を結ぶのは、施工会社であります。

そのため、私たちには具体的な見積書を建主に出すことができません。

そもそも、設計に着手したばかりで設計案が決まっていない状況です。

この状況では、「見積書を作りようがない」のです。

石神井公園の集合住宅:計画地(新建築紀行)

建主によっては、

それは
不安ではないか・・・

という方もいらっしゃるかもしれません。

私たちはデザイン性で建築の価値を上げる共に、合理的な設計を心がけています。

建築費は世情によって変動することがありますが、「だいたいの目算」は確実に守る設計を行なっています。

「設計施工」で、早期に施工会社が決定している安心感がありますが、工事価格は決まります。

私たちの場合は、施工会社に相見積もりをお願いします。

大体
三社にお願いします。

見積書を作成するのは、かなりの手間・コストがかかるので、私たちは「三社を基本」としています。

その三社を選定し、相見積もりをお願いしている間も、さまざまなコストの協議を行います。

その結果、「よりよい設計・デザインが、より適正価格で」建築できるように努めています。

「設計施工」ではない価値・メリットをご提供できるよう努めています。

設計・監理のご契約を頂戴し、いよいよ具体的設計がスタートです。

新建築紀行

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