前回は「建主の要望とは異なるデザインと建主の大きな納得〜建主の明確な要望とデザインの多角的検討・建主へ二つの案の説明・「明るいリビングの空間」を求めて〜」の話でした。
ハイグレード・ファミリー向けマンション:住戸面積とデザイン
こんにちは。
今回は吉祥寺のデザイナーズマンションを設計した時のことをお話します。
吉祥寺と聞くと、おしゃれな街というイメージがあると思います。
そのような街にふさわしい、デザインの賃貸のマンションを設計しようと考えました。
少しハイグレードな賃貸のマンションを
建てたいと思っています。
ファミリー向けの
マンションにしたいです。
建主から、具体的なご要望を頂きました。
単身者向けより、ファミリー向けの方が
良い建築がデザインできると思います。
どうしても「高い事業性」を求める傾向が強い「賃貸マンションの建築計画」。
その際には、「出来るだけ1戸あたりの面積を小さくする」傾向があります。
具体的には、25平米程度のワンルームから40平米程度の1LDKのタイプを多く作ることを求められます。
それは、「マンションの住戸数が多い方が利回りが良い」からです。
私たちは、ワンルームタイプからファミリータイプまで多数の賃貸マンションの設計経験があります。
また、大手不動産会社の分譲マンションの設計協力の経験があります。
それらの多数の経験を通して、
一住戸あたりの面積が広い方が、
デザインの自由度が高い・・・
だから、ファミリータイプ中心のマンションの方が
高いデザイン性と高い価値を持つマンションが設計できそうだ・・・
「ファミリータイプの方がデザイン性を活かせる」と感じます。
そして、
高級感ある、他のマンションと差別化できる
デザインを考えよう!
こうして設計をスタートしました。
マンションの共有部分に新たな価値をつくる:自然あふれる空間
私たちがまず考えたことは、マンションの敷地内に「自然あふれる空間」を作りたいということです。
吉祥寺には、井の頭公園という都内でも大きな公園があります。
また、計画地の近くには成蹊大学があります。
計画地は、商店街のある大通りに面した「都会的雰囲気がつよい」性格を持っていました。
そのような土地柄から、
樹木などの
自然がもう少しあるといいね。
このマンションにも
出来るだけ自然を取り込んでみよう。
自然が身近なマンションって、
素敵ですね。
昔あった「武蔵野の森」
の再現ですね。
住人だけではなく、
街の人もその自然を感じられるような工夫をしたいね。
その自然が街の一部となると
いいですね。
そして、その自然が
溶け込んでいく感じがいいですね。
具体的に建築のコンセプトを考えます。
「自然を包摂する」建築に相応しい、「コンセプトある建築」をつくろうと考えました。
自然の樹木を持つ建築には、
「樹木のような柱をもつ」建築はどうだろう・・・
柱と梁を
リズムよく並べよう!
自然な樹木の木たちに対して、柱を理性的な「均等グリッド」でつくります。
合理的な構造で、
構造の森というイメージにしてみよう。
これは、明快な
コンセプトですね。
都市・街と繋がる建築:大きな開口から見える樹木
円弧の壁を建てて
生まれる中庭に自然を配置しましょう。
その円弧の壁に
大きな開口を開けよう。
「都市・街と繋がる建築」に
なりますね。
コンセプトが
まとまりましたね。
「出来るだけ住戸数を増やしたい」という要望から、6階建てとしました。
日影規制・高度斜線等の建築基準法の法規制を考慮して、デザイン性高いボリュームをつくりました。
シンプルな形で、統一した白系の外壁と打放しの壁で通りかかる人も目を引くデザインとしました。
建主にデザイン案を説明します。
この街の
雰囲気に合う建築です。
おしゃれな
デザイナーズマンションをイメージして設計しました。
これは、価値あるマンションに
なりそうです。
この案で
進めてください。
建主にデザインを了承いただき、実施設計を進めてゆきました。
次回は上記リンクです。