前回は「自然の光とリビング・木のテラス・開放的な広場〜あたたかな住まい・豊島の家〜」の話でした。
幼稚園のリノベーションの始まり
今回は、私たちがリノベーションの設計・監理をご依頼頂いた「みそら幼稚園」の話です。
プロジェクトの「はじまりの話」を、ご紹介します。
幼稚園等の大きな施設等の建物を新築・リノベーションする際、
どのような流れで、
設計者が関わってゆくの?
と、疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。
私たちが設計した「みそら幼稚園のリノベーション」計画で、具体的にご紹介します。
最初の連絡と現地調査
みそら幼稚園のはじまりは、園長先生からのご連絡でした。
園舎の耐震改修と
リノベーションを考えています。
そこで、具体的な設計や
工事に関して、相談したいのです。
と、ご連絡頂きました。
そこで、まず私たちが「みそら幼稚園」へ伺いました。
こんにちは!
まずは、ご要望等をお聞かせください。
そして、園長先生や現場の先生方からお話を聞きました。
まず大事なことは、ご要望・ご予算・予定するスケジュール(工事時期)です。
これらを詳細を伺った上で、計画の方向をご提案してゆきます。
ご要望・ご予算も大事ですが、「いつ頃までに幼稚園にリノベーションするか」が最も大事です。
耐震診断をしたら、
非常に数字が悪かったです・・・
東日本大震災の時も、
とても揺れて、大変でした・・・
また地震が来るかもしれないので、
園児たちのために、一日も早く地震に強い建物にして欲しいです。
承知しました。
私たちも出来るだけ早く設計をまとめます。
大事な工事のスケジュール・タイミング
具体的な工事の
タイミングは、いつ頃をお考えですか?
「出来るだけ早く完成させたい」というご要望をいただくことが多い建築。
完成のタイミングのご要望は様々なですが、特に幼稚園などの施設の場合は、スケジュールが大事です。
集合住宅・マンションなどの新築は「更地に建築」するので、工事の融通がききます。
対して、幼稚園等は「実際に現在運営している」ため、工事期間・状況が限られます。
園を運営している間に工事は、
無理なので・・・
来年の夏休みの2ヶ月ほどの
間に、工事を全てやって頂きたいのですが・・・
「工事は夏休み期間のみ」というご要望です。
子どもたちに危険が及ばない様に、園に子どもたちがいる時に
工事をするのは避けたいです。
工事って、
色々な粉塵なども出ますよね・・・
そういうものを園児たちが吸う様なことは、
絶対避けたいです。
工事って、やはり危険ですよね・・・
私たちとしては、園児たちを守ることが努めです。
こう園長先生は、ハッキリとおっしゃいました。
「同一敷地内で運営しながら工事」は、園児・子どもたちの安全を考えれば「あり得ない選択肢」です。
道路挟んだ別計画地に「仮園舎」をつくって、工事をした経験があります。
このように、「工事エリアと園児が別の場所」であれば良いでしょう。
同一敷地において、工事をしている近くに園児がいる状況は、バリケード等では大変危険です。
園長先生のお気持ちを十分に尊重しながら、設計と工事のスケジュールを考えます。
内装等のリノベーションならば、突貫工事は比較的簡単です。
一方で、耐震補強を含む工事は「コンクリート躯体工事を含みます。
工事期間は、
夏休みの2ヶ月だけですね・・・
かなりタイトな
工事スケジュールですが、なんとか考えます。
夏休みの「お泊まり会」などの
イベントは、他の施設でやります。
また、多少夏休みの期間を
前後に伸ばすことは可能です。
来年の夏休みまで、半年あまり。
その間に「設計案をまとめる」ことは、十分可能ですが、同時に工事内容に関しても調整が必要です。
建主のイメージ
ご予算や時期などの「数字化できるご要望」も大事です。
それらのご要望と共に、園長先生たちの「リノベーションの思い・イメージ」をお聞きしました。
この建主の思い・イメージを、私たちが設計を
進めてゆく上で非常に大事にしています。
建主のイメージをお聞きした上で、
私たちのイメージを膨らませます。
建主の思いを胸に、私たちのイメージを抱きながら、現地調査を進めました。
戸建住宅の場合は、既存の図面がないこともよくあります。
幼稚園などの施設の場合は、詳細な設計図書が残っていることが、ほとんどのケースです。
そのため、既存建築の状況は図面で把握できることが多いです。
一方で、「現地調査から分かること」もたくさんあります。
先生方や園児たちが、
どのように園で過ごしているか、も大事です。
現地で、様々な方からお話をお聞きすることも、非常に大事なことです。
そして、その話から私たちはインスピレーションを得ることもあります。
次回は上記リンクです。
完成写真は、下記からご覧ください。