豊島の家 18〜戸建住宅の工事の流れ・跳ね出し階段工事・準耐火建築物・60mmの厚さの階段〜|東京の建築設計から

前回は「豊島の家 17〜戸建住宅の工事の流れ・庇工事・シンプルなスチール庇〜」の話でした。

目次

準耐火建築の階段

豊島の家:階段工事(新建築紀行)

外装工事と並行して、内装工事が進んでゆきます。

今回は、階段工事の話です。

リビングの一角の大きな吹き抜けに、木製の階段を配置しました。

豊島の家は、豊島区の不燃化推進政策のため、準耐火建築としました。

耐火建築ではなく、「準」耐火建築ですが、「準」といっても木造建築にとっては、かなり高いハードルです。

もともと燃えやすい木造建築。

鉄筋コンクリート造であれば、自動的に「耐火建築」となります。

準耐火建築物とするためには、床・外壁・天井などの材料に規制がかかり、通常の木造建築とは異なる材料を使います。

そして、階段もまた「石膏ボードで覆う」などの規定があります。

階段を木材だけで作るためには、厚さを60mm以上にする必要があります。

60mm以上の厚みがあれば、「万一、火災の際に燃えても、ある程度燃え残るので避難できる」という考え方です。

60mmの厚さの階段

豊島の家:階段工事(新建築紀行)

豊島の家では、この「木材ならば厚くしなければならない」規定を利用して、大きな跳ね出し階段にしました。

跳ね出し階段は、練馬の家でも作りました。

練馬の家では、厚み36mmの木材を使いましたが、今回は60mmもあるので、跳ね出し部分を大きくしました。

大きく跳ね出すダイナミックな階段のイメージです。

豊島の家:階段工事(新建築紀行)

分厚い木材をプレカット工場で作成して、大工さんたちが慎重に工事します。

練馬の家でも苦労しましたが、跳ね出し階段をつくるのは、結構難しいです。

階段を上り下りする際に、70〜80kgくらいの人の体重が跳ね出し部分の一点にかかる時があります。

この時、跳ね出し部分の一点にかかる集中荷重を、反対側でしっかり踏ん張って、階段の板が安定するようにします。

てこの原理で、大きなモーメントがかかるので、反対側の階段の根本は頑丈に作る必要があります。

豊島の家:階段工事(新建築紀行)

この時は、工務店の棟梁と事前に図面でしっかり打ち合わせして、壁の内部に木材を設置しました。

桁を外壁内に埋め込んで、
しっかりした構造を作りました。

この時、外壁にも準耐火建築の規定がかかるので、その規定に適合するように慎重に検討しました。

かなり「設計の自由度が低い」状況の中、しっかりした階段が出来て、ホッとしました。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

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