前回は「リノベーションの構造設計と昔の家の構造〜法規制と大工の感覚・既存の構造を最大限活かす姿勢・耐震補強と接合金物〜」の話でした。
リノベーションの「既存建築を活かす」姿勢:柔構造の木造建築
練馬の家のデザインテーマは「梁」です。
柱と梁は軸組構造として「同じように大事」ですが、構造としては、やはり柱が主体となります。
柱が床を支えて、梁がその床を支えることを助ける感じです。
昔の家は「真壁づくり」が多く、真壁をつくるために柱が欠かれていることが多いです。
リノベーションの最も重要なポイントは、
「既存の建築を活かす」ことです。
柱は浴室周辺や外壁等で腐食しているなど、損傷が大きい時に限り、交換します。
出来るだけ既存のままで、残してゆきたいと思います。
また、昔の家は梁の断面が小さめだったり、梁の数が少ないことが多いです。
この華奢な構造で、
よく今までの地震に耐えてこられたな・・・
こう感じることも、多いです。
それはまた、日本古来の木造建築の素晴らしい面でもあるのです。
木造建築らしい柔構造によって、地震による損傷・倒壊を免れる日本の古来からの建築です。
リノベーションの設計では、
既存の柱・梁の扱い方が非常に大事です。
自然の木の形の梁
解体工事が進んで、2階の内部の柱・梁が露出し、全体像が見えてきました
直方体断面ではない、
自然な感じの梁が綺麗・・・
リノベーションらしく、この梁を活かしたデザインも考えました。
断熱性や「屋根裏部屋を作りたい」という建主のご希望で、シンプルに天井を貼ることになりました。
山小屋みたいな自然な感じの梁を活かしたデザインは、
今度やってみよう・・・
合理的な耐震補強:構造用合板の活用
真壁のため、切り欠かれている柱が多く、構造的に心配な柱もあります。
収納等の関係で柱を追加することもあり、これらの柱は既存のままにします。
外壁の柱や筋交は追加は比較的容易ですが、交換等は難しいことが多いです。
内部の壁の筋交増設して、
構造用合板などの面材を貼って・・・
合理的に
耐震補強しよう。
「内部に上手く耐震壁を配置する」ことで、耐震性は非常に高くなります。
部屋のプランと合わせて、
上手く壁を配置しましょう。
合理的な耐震壁の設置は、新築・リノベーションどちらでも木造建築設計の大事なポイントです。
梁の補強による構造デザインが、デザインコンセプトのテーマですが、耐震性能は「面」で確保する必要があります。
その面やコアをどの様に配置するか、もデザインに大きな影響があり、大事なことです。
構造のコアに関する話を上記リンクでご紹介しています。
次回は、断熱工事の話です。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。