姫路の風情ある城下町:野里 2〜町屋の構成・虫籠窓・時代を反映〜|古き街並

前回は「姫路の風情ある城下町:野里 1〜都市と町屋・本多忠政・池田輝政・豊臣秀吉〜」の話でした。

目次

野里の街並と町屋

こんにちは。

昔ながらの街並が残っている、貴重な街・野里。

このような古き街並においても、電柱・電線がたくさんあります。

新たな建築・都市を作ることも大事ですが、歴史的な建築を保存することも大事です。

こういう古き街並の
電柱なども地中化してほしいです。

今回は、野里の町家の内部の様子についてです。

内部は、建築学科の学生たちによって改修されています。

今は、
集会所として使っています。

とのことでした。

畳が貼り替えられたり、新しくなっているところもあります。

基本的に、家具や階段などは当時のままです。

昔は、この階段と畳の間は襖で仕切られていたとのことで、建具枠が名残としてあります。

味わい深い
イメージですね。

そして収納を兼ねた階段は一段一段の高さ、蹴上がとても高いつくりでした。

吹抜と木造らしい雰囲気

こちらは2階の吹抜から見下ろした写真です。

左に畳の間、右に土間が広がり、土間をそのまま進んでいくと裏庭に出ます。

この吹抜は、荷物の昇降の為に設けられたそうです。

昔の日本の木造建築の
構造がよく分かります。

町屋の典型的空間構成

この地域の昔の町家のつくりは一様で、通りに面して建物が並びます。

「一階は店舗、二階は住宅」という間取りになっていたそうです。

そして、一階は店舗と土間が襖で仕切られ、土間は入口から奥まで続きます。

「奥の扉を出ると裏庭がある」という配置になっていました。

お話をしてくださった方は、

小さい頃帰ってくると、ただいまー!と言って、
友達と土間を走り抜けて裏庭へ行ったものです。

友達は家の人とは、特に顔を合わさずに帰っていく、
そんな感じだったよ。

と、仰っていました。

裏庭も今はワークショップなどを行っているそうで、デッキなどをつくったりと新しくなっていました。

縁側など当時の名残があり、ここでの生活像が見えてくるようで、とても興味深かったです。

二階へ上がると、当時の天井の位置などが記録されていました。

天井高が低かった部分を、時代に合わせて高くしていったとのことです。

現代では頭がぶつかってしまう為、天井は剝がしてあるそうです。

その為、小屋組みの様子がよく見えます。

骨太な感じの木構造で、
私は好きです。

このように、昔の木造建築の梁は、整形せずに「樹木の形のまま使用していた」のです。

最近は、機械化が進み「プレカット」などで、基本的に全ての柱・梁は四角に整形されます。

一昔前までは、大工さんたちが柱・梁の加工をしていたので、梁の形状が自然の状況に近いままでした。

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木の本来の表情を
活かしたデザインも良いですね。

時代を感じる古色で、明治時代あたりからの当時のままの物だそうです。

ヨーロッパの石造などは、「何百年前の建築」と聞くことがあります。

木造で、そんなに保存できるんだ、
と驚きました。

虫籠窓:時代や地域を反映

また、虫籠窓(むしこまど)という縦格子のある開口が、この町屋の特色だそうです。

形や大きさが、地域や時代によってことなるとのことです。

思いがけず古民家の見学をすることが出来て、とても良かったです。

とても良い勉強に
なりました。

思いがけなく、良い建築に出会ったりするときに、後で

もっと写真を
撮ればよかった・・・

とか

こんなことも
聞いてみればよかった・・・

と、思うこともあります。

古き良き街並であるだけではなく、典型的な町屋の空間構成や虫籠窓が残っている野里。

また訪れて見たいと思う場所でした。

新建築紀行

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