前回の「アイデア : 有機的ヴォイド~柱・梁の空間・間・自然と建築の融合・吉祥寺の集合住宅~」の話でした。
新旧の空間の対話
今回は、「本棚の壁」の有機的ヴォイドに関する話です。
「間」を感じる事が出来る空間を、リノベーションで創り出したいと考えました。
空間・時間のイメージを喚起する間のコンセプト。
それを、リノベーションという「新旧の空間の対話」の中で表現したいと考えています。
リノベーションという制約の中で、新たな「間」のコンセプトを生み出すことを考えたのが、このプロジェクトです。
新旧の素材の空間と「間」
「白の本棚」は既存の木造軸組と、新たに挿入された白い本棚の箱があります。
新旧の素材・新旧の空間に「間」を感じられるように意図しました。
吹き抜けに新たな床を作り、増築を含む個人邸のリノベーションである「本棚の壁」。
目に見える「吹き抜けというヴォイド」を無くす代わりに、見えない「有機的ヴォイド」を挿入することを試みです。
既存の木造軸組はそのままとし、新たにつくる白い本棚と明快に素材・空間が分かれます。
新たに創られた部屋へは、白い本棚の一部が書き取られた開口が入口になっています。
これら部屋の入口にはドアなどの建具は設置せず、本棚や既存軸組が空間を分節しています。
本棚の世界:小さな宇宙のような「間」の空間
読書がとても好きな建主夫婦は、専門書から一般書まで大量の蔵書をお持ちでした。
そこで、大きな本棚をつくり、本棚自体を壁面としました。
「本棚の壁」によって、新たな子ども部屋を作りました。
そして、子ども部屋への動線を確保するために、本棚の一部を奥へ押します。
本棚の奥には、入口の為に切り取られた本棚が現れます。
二つの子ども部屋の間には、本棚を重ねたボリュームで空間を分節しました。
部屋と部屋の間には、本棚と木造軸組によるミニマムな空間があります。
小さくても無限の広がりを感じられる、新旧の対話の空間。
小さな宇宙のような「間」の空間を
意図しました。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。
次回は上記リンクです。