アイデア:道空間~石神井公園の集合住宅・練り歩く体験・建築の余白・道空間の復権~|東京の建築設計から

前回は「揺らめく自然と様々な光をすくいとること〜建築設計におけるアイデアとコンセプト・四季折々変化する光・練馬の家~」の話でした。

目次

道空間と建築

ミコノス島の階段 1

今回は、「道空間」の話です。

ミコノス島の路地(新建築紀行)

ミコノス島での、様々な魅力的な道空間の話をご紹介しました。

ミコノス島での「歩いて楽しい道空間」や「狭いけど、魅力的な階段状の道空間」の話をしました。

西欧の都市では、すぐに広場が想起されます。(上記リンク)

ヴェネツィア:サン・マルコ広場(新建築紀行)

歴史的に日本の都市では西洋の様な「囲われた広場」は、あまり見受けられないです。

代わりに、神社などが「西欧の都市の広場の代わり」としての役割を果たした、とも言われています。

西欧の都市では、現在でも様々な魅力的な広場があります。

そして、ミコノス島以外にもヴェネツィア、フィレンツェなどに、魅力的道空間があります。

ヴェネツィア:都市の道空間(新建築紀行)

道空間と集合住宅

歌川広重:浮世絵(国立国会図書館)

「西欧的広場」がなかった日本の都市では、浮世絵などで「人々が練り歩く」光景が描かれています。

日本人が親しんできた、魅力的な練り歩く体験をもたらす「道空間」を、建築で実現したいと考えています。

実際には、多くの集合住宅において、建築内に足を踏み入れた瞬間に喪失する都市の道の空間。

この道の空間を復権させ、集合住宅の内部に都市から「道の空間」を、引き込みたいと考えています。

階段や共用廊下などの空間を、閉ざされた空間としないで、「街に開きたい」と考えています。

そして、道空間が、建築の内部を巡るように設計しています。

Yoshitaka Uchino

公私の空間を相互浸透させることで、
空間を活性化します。

建築の余白と道空間

石神井公園の集合住宅:アクソノメトリック(Copyright : YDS)

建築の余白の全てに、積極的意味を持たせることを考えています。

階段と共用廊下という余白の空間が、住まい手の生活のシーンに彩りを与えるイメージです。

Mana Muraki

自然の変化、光・風の変化によって、
空間も変化します。

石神井公園の集合住宅では、階段を中庭の中に配置しました。

中庭の道空間

階段を上がり下がりする中で、中庭の自然や石神井公園の自然を感じる事が出来ます。

必要である階段を中庭の中に配置し、共用部の面積を出来るだけコンパクトにしました。

石神井公園の集合住宅:中庭(新建築紀行)

経済性を最優先する賃貸集合住宅では、共用空間よりも住戸が優先される傾向があります。

不動産会社A

共用部は賃料を
生まない・・・

このように「共用部は最小限に」と、不動産会社の方から言われることもあります。

一方で、この「共用部があるからこそ、豊かな空間が生み出せる可能性」を大いにもつ集合住宅。

石神井公園の集合住宅:断面図(新建築紀行)

そのパブリックスペースである共用部に、広場と道空間を生み出すことを目論みました。

Yoshitaka Uchino

経済的・法規的合理性を意識しながら、
パブリックスペースのコンセプトを大事にしています。

模型(Copyright : YDS)

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

次回は上記リンクです。

新建築紀行

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