前回に「本棚の柱:リノベーションの設計プロセス⑧」の話でした。
既存マンションのリノベーション
こんにちは。
今回は、都心にある集合住宅が今回の舞台です。
既存の集合住宅一棟を、全面的にリノベーションする案についてお話ししたいと思います。
以前、既存の社員寮を、全面的にリノベーションを行い、新たな集合住宅にする設計を行った実績があります。
あのプロジェクトのように、
既存の建物を再生してほしい。
数年前に設計し、完成したリノベーションの評判が良かったこともあり、続けてご依頼いただきました。
この時は、ワンルームタイプが中心の住戸が多かったため、既存空間を転用するのに大きな制約がありました。
20m2程度のワンルームマンションの住戸の間には、鉄筋コンクリートの壁が沢山ありました。
しかも、それらの鉄筋コンクリートの壁が「構造」だったため、手を入れることが非常に難しい状況でした。
面積が狭い住戸の空間に
広がりが生まれる設計をしました。
この時は、設計期間が短く、制約が非常に強い中、「既存空間を最大限活かす」工夫をしました。
シェアハウスへリノベーション
この時の実績から、同じ大手不動産会社から、設計の依頼がありました。
都心にあるマンションを、シェアハウスにリノベーションにする計画です。
大きく違うのは、「集合住宅」と「シェアハウス」と用途が異なることです。
さらに、メインターゲットは、外国からいらっしゃる方です。
既存の鉄筋コンクリート造の集合住宅を
シェアハウスに再生してほしい。
最近、増加している
訪日客を意識して欲しい。
「集合住宅」から「シェアハウス」へ転用するには、建築法規の違いも、しっかり検討する必要があります。
法規上のことは、適宜対応するとして、最も大事なことはコンセプトです。
外国人向けシェアハウスのコンセプト:日本の空間らしさ・DOMA-SOHO
この設計を依頼される少し前に完成した、リノベーションのみそら幼稚園。
みそら幼稚園のリノベーションの際にも、デザインコンセプトを明確にすることが最重視しました。
デザインの結果現れる「形・色・素材」などは、デザインコンセプトが固まった後に生まれることと考えます。
みそら幼稚園・既存の集合住宅のリノベーションは「同一の用途」であることが、大事です。
「用途が同じ」ということは、建主の向いている方向性は「根本的には不変」となります。
ところが、今回は「集合住宅・:住まいの集合」から「シェアハウス:共同生活の空間」へ変更する設計。
「集まって住む」ことは同じですが、「シェアハウス」は、より「共同生活感」が強くなります。
私たちは、どのようなライフスタイルが、現代の需要に合うかを考えました。
共用空間とプライベート空間をどのように分けるか、を様々考えました。
訪日客の数日間の宿泊所にも、
対応できるようにして欲しい。
数日間〜長期にわたって、共同生活を
する空間への転用・・・
リビングやキッチンは、
共用部に計画しよう。
プライベートの住戸部分に、
特色を作りたいですね。
多目的な活動が出来る場が、
あると面白いね。
そこで考え付いた案は、
各住戸に、
広い土間を作ろう。
土間は、
欧米の方には珍しいですね。
それは大きな特徴に
なりますね。
リノベーションなので、各住戸の面積は限られています。
鉄筋コンクリート造の既存の建物の、住戸間の壁は一部撤去できます。
そのためには、構造的な検討や申請が必要となり、時間がかかります。
各住戸の骨格は、
変えないようにしよう。
コストを抑えることに
つながりますね。
こうして、「広い土間を持つ」住まいの設計が始まりました。
土間を中心とする「SOHO:OK」の住まいのシェアハウス。
そこで、私たちはプロジェクト名を「DOMA-SOHO」としました。
デザインコンセプトが、そのままプロジェクト名称になりました。
デザインコンセプトが決まり、これから詳細な設計を一気に詰めてゆきます。
次回は上記リンクです。