前回は「木の温もりと自然が身近に感じられる住居型支援施設〜均等グリッドと市松状の小梁・均質性の中の多様性〜」の話でした。
ゆとりを持ってコミュニティ築く集合住宅:人々の温もりと木の温かみ

今回は、郊外に計画した村落型集合住宅の話です。
都市型集合住宅に関するアイデアを、上記リンクでご紹介しています。

都市に建つ集合住宅では、
経済性・合理性が最も重視されます。



私たちは、合理性を堅持しながら、
独自のアイデアを盛り込みます。
今回の計画地は、比較的広い郊外に、ゆとりを持ってコミュニティを形成できる集合住宅のアイデアです。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
私たちの「アイデアの5つのフィロソフィー」から「揺らめく自然」、「道空間」、「都市広場」を重視しました。



今回は、一棟ではなく
複数の棟をゆとり持って計画します。



集合住宅であり、
ホテルのようなゆとりある住まいです。


建物と建物の間は、道空間を想定し、歩いて楽しい空間づくりを目指しました。


それぞれの住まいのテラスは、閉じるとプライベート性が高まり、開くとオープンな空間になります。
この「閉じる」と「開く」は住まい手次第であり、建築空間が変容します。
空が開けたオープンテラス:刻々変化する日本的な陰翳の美


外に対して、閉じているテラスは、上部が空いており、光と風が入ってきます。
壁で覆うと、かなり閉塞感があるように感じられるかもしれませんが、



空が開けているので、
気持ち良い空間です。


外壁側をオープンにすると、一気にパッと開けたテラスになります。
この自由度が、建主の住まいや生活を無限大に広げてゆきます。


建物の配置を様々検討し、コミュニティを誘発するデザインを検討しました。
ある部分は、少し幅が狭い道空間であり、ある部分は、広場のように広い道空間となります。
道空間と都市広場の境界は曖昧であり、道空間と都市広場の面白さが共存するのがベストです。


テラスが開いたり閉じたりすることで、オープンとなる道空間は様々に変化します。


木造建築の梁を活かしたデザインを考えました。
屋根を取り払う部分にも梁を残して、均一の梁が織りなす空間が秩序を生み出します。


梁によって、刻々変化する影が、日本的な陰翳の美を生み出します。
比較的幅が小さな梁によって、屋根が取り払われた屋外空間も、半屋内空間となります。
いわば、屋内と屋外の中間領域のような空間が生まれます。
この「道空間+都市広場」の空間が、村落型集合住宅のコミュニティを生み出すでしょう。