前回は「ゆとりを持ってコミュニティ築く集合住宅〜人々の温もりと木の温かみ・空が開けたオープン・テラス・刻々変化する日本的な陰翳の美〜」の話でした。
「道空間」と「都市広場」を具現化するドローイング:道と広場の違い

今回は、比較的ゆとりのある郊外に計画された村落型集合住宅のコンセプト・ドローイングの話です。

基本的に4層以上となる、都心の都市型集合住宅と大きく異なり、低層型でゆとりある住まいです。
今回は、集合住宅のデザインですが、ホテルなどでも同様なデザインは良いと思います。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
私たちのアイデアのフィロソフィーの中で、「揺らめく自然」、「道空間」、「都市広場」を重視しました。
このコンセプト・ドローイングを作成するにあたり、木造らしい繊細さを表現したいと考えました。

そして、7つの棟からなる複合建築の余白から生まれる「道空間」と「都市広場」を表現したいと考えました。
皆で集まって過ごせる「道空間」と「都市広場」の違いは、様々な考え方にもよります。

明確に「道空間」と「都市広場」の
違いを定めるには、「道空間」の定義が大事です。
この定義には、道と広場の広さや縦横比などを定義することなどが考えられます。


厳密な定義は別として、これらの建築群の余白の空間は「道空間のような都市広場」と考えます。
柱と梁から生まれる「木造の秩序」


そして、木造らしい優美なイメージを、コンセプト・ドローイングで表現することを考えました。
繊細な木造の柱と梁を半透明で表現しすると、折り重なる木造の柱と梁に濃淡が生まれます。


7つの建築は、相互にある距離をとって、角度を振って配置されています。
「相互の離角距離がある」ことも大事ですが、「角度を振っている」ことも大事なポイントです。


そして、角度を振ることから生まれる立体感と奥行き感を表現したいと考えました。


この建築では、建築内部のヴォイドも大事な要素であり、ヴォイド内にも梁があります。



リズムよく梁が並ぶことから、
木造の秩序が生まれます。


今回は、柱梁のグリッド構造に加えて、屋根を小さな小梁で支えています。
これらの小梁が多数並び、生まれる「木造の秩序」をわかりやすく表現しようと試みました。


コンセプト・ドローイングの平面図は、一般的な平面図とはだいぶ異なる印象です。
大事な要素のみを抽出したコンセプト・ドローイングの平面図によって、



建築の構成が明確に
理解できます。


上のコンセプト・ドローイングは、レンダリングせずに線画で表現しています。



シンプルな線画の
ドローイングも好きです。


線画は、より建築の構成を浮き彫りにして、建築の本質が分かりやすく表現されます。
今後も様々なプロジェクトで、線画のコンセプト・ドローイングを作ってゆきたいと考えています。