「都市・街全体の遺跡」の一乗谷遺跡博物館〜越前福井という国の「歴史的骨太さ」を示すデザイン・模型のスケールから原寸大のスケールまで楽しめる空間〜|越前一乗谷2・建築と旅

前回は「「谷」に国都があった越前一乗谷〜福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館・コンクリート打ち放しの正方形グリッドの建築・均等グリッドの秩序が支配する展示空間・柱と展示説明の幟〜」の話でした。

目次

越前・福井という国の「歴史的骨太さ」を示すデザイン

New Architectural Voyage
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(新建築未来紀行)

一乗谷朝倉氏遺跡近くに新たに建築された、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館を訪問しました。

コンクリート打ち放しのグリッドが支配的で、秩序を感じる骨太な空間です。

新建築紀行
熊本城(新建築紀行)

歴史的価値が高い城郭などでは、城郭の建築が非常に整備されており、内部には多数の展示があります。

熊本城では、精巧な熊本城の構造模型が展示されており、

Yoshitaka Uchino

熊本城の構造が非常に
わかりやすく、巨大模型が圧巻です。

熊本城のに関する話は上記リンクをご参照ください。

城郭や街並などの歴史的遺産に付随して、博物館が建てられることが多いです。

New Historical Voyage
安土城天守信長の館(新建築未来紀行)

すでに城郭がほぼ焼失してしまった安土城近くには、「安土城天守信長の館」という博物館があります。

Yoshitaka Uchino

安土城の巨大な復元模型が、
とてもリアルで大迫力です。

これらの「歴史的建築や都市に関する博物館」は多数ありますが、

Yoshitaka Uchino

一乗谷朝倉氏遺跡博物館は、
建築デザインが分かりやすく、歴史とマッチしています。

New Architectural Voyage
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(新建築未来紀行)

歴史的に重要な地でありながら、福井・越前や一乗谷は一般的な知名度はあまり高くないかもしれません。

それに対して、一乗谷朝倉氏遺跡博物館の建築は越前という国の強さ・重要性を強く主張しています。

その骨太で秩序が強い建築デザインによって、越前・福井という国の「歴史的骨太さ」を。

「都市・街全体の遺跡」という極めて貴重な一乗谷遺跡博物館

New Architectural Voyage
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(新建築未来紀行)

館内には、これから訪問する「一乗谷朝倉氏遺跡」の戦国当時の街並の大きな模型があります。

当時の武家屋敷や町屋が忠実に、リアルに表現されています。

一乗谷という「すでに焼失してしまった街・都市」の戦国時代の香りが感じられます。

この模型はメイン展示室のちょうど中央あたりに配置されており、展示の目玉です。

このような歴史博物館では、これらのリアルな復元模型はたくさんありますが、

Yoshitaka Uchino

街の一部を、ここまで大きく復元した
模型は比較的少ないと思います。

新建築紀行
姫路城の桜(新建築紀行)

姫路城・彦根城・犬山城などの城郭建築は、貴重な「現存12天守」で往時の建築が楽しめます。

現存12天守

・姫路城(兵庫県姫路市)

・彦根城(滋賀県彦根市)

・犬山城(愛知県犬山市)

・松江城(島根県松江市)

・松本城(長野県松本市)

・丸亀城(香川県丸亀市)

・丸岡城(福井県坂井市)

・宇和島城(愛媛県宇和島市)

・備中松山城(岡山県高梁市)

・高知城(高知県高知市)

・弘前城(青森県弘前市)

・松山城(愛媛県松山市)

熊本城・岐阜城などの著名な城郭建築は「現存12天守」ではなく、全てまたは一部が復元です。

「復元された建築」ですが、往時の雰囲気を大いに楽しめます。

これらの城郭建築には様々な規模があり、中には意外と小規模な城もあります。

姫路城はかなり巨大な城郭であり、姫路の街自体が姫路城と一体化しています。

あるいは、関ヶ原の戦場跡地など「歴史的出来事」を現地で整備している場合もあります。

一方で、この一乗谷遺跡は、もともと巨大な城郭があったわけではなく「街並自体が遺跡」です。

この点で、一乗谷遺跡は非常に特殊で、貴重であると感じます。

模型のスケールから原寸大のスケールまで楽しめる空間

New Architectural Voyage
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(新建築未来紀行)

一乗谷朝倉氏遺跡博物館では、原寸大で復元された往時の朝倉家の屋敷が展示されています。

おそらく、ほぼ全てが平家であり、高く聳え立つ城郭とは対照的な平面的建築であった大名屋敷。

戦国時代中期に、街全体全てが焼き払われてしまい、「全てが消えてしまった」一乗谷。

この復元建築は、当時の建築図面などの資料を元に復元していますが、多くは推測と考えます。

「推測」であるだけに、少し誇張されている部分があるかもしれませんが、

Yoshitaka Uchino

栄華を誇った朝倉氏の勢いと、
大都市だった一乗谷を感じられます。

この大名屋敷の建築は、現代から見ても「典雅な建築」であり、当時は時代の最先端だったでしょう。

日本古来の柱・梁のデザインが、優美に展開しており、

Yoshitaka Uchino

美しい木造建築を
楽しむことができます。

このように、模型のスケールから原寸大のスケールまで縦横無尽に楽しめる一乗谷遺跡博物館。

「朝倉家と一乗谷の歴史」がメインですが、福井・越前の歴史が強く感じられます。

New Architectural Voyage
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(新建築未来紀行)

一乗谷遺跡は、戦後に「遺跡・遺構がかなり細かく発見された」極めて貴重な遺跡です。

城郭や建物などは、当時の文化や建築技術を知るためには、極めて重要な建築です。

この一乗谷遺跡は「当時繁栄していた一乗谷」という大都市の遺跡です。

建築レベルよりも広く、さらに武家と庶民の生活像から、より広いレベルのことがわかるでしょう。

この意味では、戦国当時の文化・建築・風俗を知るためには、最も重要な地かもしれません。

建築デザインも内部の展示も非常に秀逸な福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館。

ぜひ、歴史や建築に興味をお持ちの方は訪問してください。

次回は上記リンクです。

New Architectural Voyage

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次