前回は「熊本の家と九州の自然 1〜木造住宅新築前のプロセス〜」の話でした。

熊本に住む親友一家に会うために、熊本を訪れました。
大学時代以来の親友です。
やあ、
よく来てくれた!

阿蘇は
とても良いところだったよ。
あそこは
本当に良いところだよ。
今度は
黒川温泉に一緒に行こう!



そうだね。
と話が弾みます。
そして、熊本城を訪れました。
姫路城などと並んで非常に重要な城郭である熊本城。
今も、熊本の街から見て少し高台にあり、周囲からよく見えて「熊本のシンボル」となっています。



歴史ある城は、
今でもなお、街の中心となっています。


それほど大きな規模ではありませんが、昔からの木造建築であり、歴史を感じさせます。
デザイン的にも非常に優美で、このデザインを400年ほど前に図面にどのように描いたのか、興味があります。
そして、図面に描くのも大変なことですが、「どのように木造で作ったのか」も興味があります。


見上げると、壮大で優美である美しい屋根のディテールが楽しめます。
これまでに幾つかの城を訪れていますが、熊本城の石垣は無骨でありながら、非常に存在感があります。


著名な戦国武将である加藤清正が築城した熊本城。
2016年の熊本地震で大きな被害を受けたのち、再度大規模な修復がなされました。
訪れたのは熊本地震の前ですが、無事修復・復旧が進んで、本当に良かったです。


付近にある加藤清正像は、力強い造形で「戦国武将らしさ」がよく表現されています。
元々、尾張(現在の愛知県)出身だった加藤清正は、熊本(隈本)とは大きな地縁がありませんでした。
豊臣秀吉の非常に有力な武将として、「九州の要」として熊本へ移り、熊本城を築きました。


場内の大広間は、優美な木造空間です。
大きな梁を使用していますが、木造でこれだけ大きなスパンを飛ばしていることが信じ難いほどです。


城内には、熊本城の精巧な模型があります。



これは、非常に
精巧で素晴らしい模型だ。
日ごろ作る建築模型は、精巧さを求めるよりも「空間やデザインのバランス」の検討のためであることが多いです。
作っているからこそ、この熊本城の模型の凄さがわかります。


昔からの木造建築がそのまま残っている、非常に貴重な宇土櫓。
木造建築の繊細で優美な構造デザインを楽しむことができます。
大きな梁と、少し細すぎるくらいの木材が織り込まれるようにデザインされています。
この熊本の旅の時は、のちに「熊本の家の依頼」を頂くことは思いもしませんでした。



熊本城、阿蘇など
実に熊本は素晴らしい!
心から、そう思いました。
この時「思いもしなかった」熊本の家の設計の際に、この旅での経験が役立ちました。
設計と工事・監理のプロセスで、通常は一年以上かかる建築。
一つ一つの経験が設計に結びついて、形となることが実感されます。