新築オフィスビルのコンセプト〜都市と街からの印象とブランディング・自然の光とオフィスビル・設備のコア・合理的でメンテナンス性の高い設備計画〜|九州のオフィスビル2・東京の建築設計

前回は「九州の新築オフィスビル計画のプロセス〜依頼と賃貸のスキーム・計画地の状況の把握とボリュームスタディ・建主への提案・ミッションの発信と高い事業性〜」の話でした。

目次

新築オフィスビルのコンセプト:都市と街からの印象とブランディング

Urban Wall(新建築紀行)

こんにちは。

打放しのコンクリートの大きな壁が際立つデザインを考えました。

Urban Wall計画地(Google map)
Mana Muraki

十字路の角地に建つオフィスビルなので、
街・都市との関係性が非常に大事です。

住宅でも集合住宅でもオフィスビルでも、都市や街に建てる以上、

Yoshitaka Uchino

その規模によらず、
都市との関係性は重要です。

いつも「都市と建築の関係は重要」ですが、計画地の状況によって、

Yoshitaka Uchino

「建築と都市の関係性」の
重要性は変化します。

新建築紀行
吉祥寺の集合住宅:配置図(新建築紀行)

街道・幹線道路に面する”Forests of Grids”では、「都市・街に働きかけるデザイン」を考えました。

新建築紀行
吉祥寺の集合住宅 パースペクティブ(新建築紀行)

建築ないの自然・樹木が「都市・街からも見える」コンセプトです。

そして、「建築と都市と自然が共に成長してゆく」イメージで設計しました。

新建築紀行
吉祥寺の集合住宅:外観(新建築紀行)

このオフィスビルは“Urban Wall”というコンセプトで、街からの印象が際立つように考えました。

Urban Wall:模型(新建築紀行)

大きな道路の交差点に位置する計画地。

周辺には高い建物が立ち並びますが、容積率を最大限にして、高さを抑えました。

Mana Muraki

街を歩く人たちが、
空を臨めるイメージです。

「大きな建物をつくること」も大事かもしれませんが、

Yoshitaka Uchino

都市との関係を考えるとき、
建築のボリュームは小さくしたいです。

できるだけコンパクトに設計して、オフィスのブランディングにも貢献するデザインを考えました。

自然の光とオフィスビル

Urban Wall(新建築紀行)

この壁は外壁側だけではなく、室内からも印象的な壁となるデザインを検討しています。

Yoshitaka Uchino

壁の両サイドに
スリット窓を入れよう。

Yoshitaka Uchino

室内側に光が
差し込むイメージにしよう。

オフィスビルに自然の光りが「差し込む」空間のイメージを考えました。

人工照明によって「均一な明るさ」を求められることが多いオフィスビル。

照明計画は「均一な明るさ」になるようにしますが、「自然のうつろい」が感じられる空間です。

新建築紀行
練馬の家:スリットの光(新建築紀行)

練馬の家などで「スリットの光」をデザインしました。(上記リンク)

Mana Muraki

このスリットの
光はオフィスの空間を特徴づけますね。

Mana Muraki

美しい自然光で、
内部からも壁の存在感が際立ちますね。

打放し壁の両側に、細長い窓をつくり、そこから光が差し込み壁を照らす、というデザイン案です。

Urban Wall(新建築紀行)

また、このコンクリート打ち放しの壁を斜めにしている事にも意味があります。

この壁自体に、壁柱のような構造要素があります。

一般的な真四角の柱ではなく、「長方形の細長い柱」と構造的に考えます。

コンクリート打ち放し壁を斜めにすることで、縦軸横軸ともに支える力を発揮します。

デザイン性を高めるといだけではなく、合理的な考えに基づいて設計しています。

設備のコア:合理的でメンテナンス性の高い設備計画

新建築紀行
Urban Wall:模型(新建築紀行)

さらに、設備設計も重視して、合理的でメンテナンスに配慮しました。

室外機を設置するバルコニー(サービスバルコニー)などは目立たない位置へまとめています。

依頼者

エアコンの室外機を置く位置
ってそんなに重要なの?

「エアコンなどの設備の配置は重要なの」と思う方もいらっしゃると思います。

そのような細かな点にもケアすることで、よりデザイン性も高まります。

なるべく人目につかなく、メンテナンスのし易い場所を検討したり、

Mana Muraki

ルーバーなどで覆っておしゃれに
隠すといった方法など、様々です。

それぞれのプロジェクトによって、それぞれの工夫が出来ます。

依頼者

そういう事にまで、
こだわっているとは知らなかった・・・

依頼者

後で、こんなおしゃれな方法が
あったんだって知ることもあります。

このように思われる方のためにも、私たちは自信をもって納得いただける設計しています。

Urban Wall:模型(新建築紀行)

構造設計で「コアをつくる」考え方がありますが、ここでは「設備のコア」を考えました。

共用廊下・階段・エレベーターなどの空間と設備コアをまとめて、構造・設備に合理性をもたらしました。

Yoshitaka Uchino

上下階の配管を
集約して、設備ルートを合理化しました。

シンプルさを突き詰めた構造と設備計画です。

そして、それらが全体のデザインコンセプトやデザインそのものと組み合わさりました。

設計依頼者B

このデザインは
いいですね。

設計依頼者B

この案で
設計を進めてください。

建主から了解を頂き、オフィスビルの設計案が概ね決定しました。

構造事務所と共に構造設計の詳細を検討し、施工費の見積に向けて詳細設計・実施設計を進めてゆきます。

次回は上記リンクです。

新建築紀行

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