前回は「幼稚園リノベーションの設計プロセス②〜耐震壁設置位置の行方・既存の壁を伸ばして増築・耐震壁を生み出す発想・「有効活用されていない」空間を活かすデザイン〜」の話でした。
クリニック増築計画の依頼
今回はクリニックの増築計画の話です。
僕の「かかりつけ医」で、地域でとても流行っている医師の方がクライアントです。
H先生の診療の
お陰で治った!
H先生は、
とても親身になって話を聞いてくれる。
患者さんたちから大変高い評判で、医師としての能力が高いため、いつも混雑しているクリニックです。
ある日、そのクリニックを運営するH先生から電話がありました。
あのね。
クリニックの増築を考えているんだけど・・・
よく分からないことが多いから、
相談に乗って欲しい。
承知しました。
伺います。
まずは、クリニックに伺うことになりました。
このクリニックは昔住んでいた家の近くなので、引っ越した後は訪れる頻度が少し下がりました。
それでも、H先生が「相談しよう」と考えてくれたのは嬉しいことです。
難しい点が多い「増築」の建築確認申請の実情
クリニックに伺って、H先生と話します。
とても流行っているので、1時間の休み時間は大幅にスタートが遅れます。
待合室で待ちながら、
相変わらず、
すごく流行っているな。
自分のかかりつけクリニックが流行っていることは、嬉しいことです。
やっと休み時間となり、H先生のもとへ。
あのね。
クリニックを増築したい。
ただ、増築の設計して、申請するには
時間かかるよね。
おっしゃる
通りです。
半年ほどは
かかります。
基本的に集合住宅や施設の設計には、申請まで含めると半年以上かかることが多いです。
「増築の申請」というと「増築部分のみの申請」と思われがちですが、「建物全体の申請」となります。
建築基準法上、「増築」は「建築の一部」となります。
・土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
・附属する門若しくは塀、観覧のための工作物
・地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設
・建築設備
増築の建築確認申請には「既存部分の適合性」も審査対象となります。
「既存部分の建築基準法との適合性」は、法律の改正などにより「不適合」の場合もあります。
その場合は、「是正することも含めて設計・検討」する必要があります。
増築の申請は
時間がかかります。
東日本大震災の
ことが気になっていてね。
あの時は、
クリニックも大変だった・・・
また、「大地震が発生する」という
意見もあるでしょ。
遠い目をして、H先生がおっしゃいます。
確かに、東京などでは
大地震発生の可能性が高いと思われます。
うちは入院施設のない
クリニックだけど・・・
透析などの患者さんも
いるから、大震災で停電したら大変!
生命に関わるかも
しれない・・・
それは、
非常に大きな問題ですね。
そこで、増築計画に先立って、
万一停電の際に、対応できるようにしたい。
承知しました。
どのようなお考えでしょうか。
軽油で動く
発電機があるでしょう。
その発電機を、
敷地内の空き地において、万一の際、発電させたい。
困難な建築計画申請への取り組み方:軽油発電機設置計画+危険物
軽油で動く発電機を作っているメーカーはいくつかあります。
実は、もう
メーカー担当者と相談している。
もう「設置する」ことが前提で話が進んでいるようです。
もう、メーカーと
話されているんですね。
そう。
ただ、軽油って「危険物」になるから、申請が必要みたいだね。
確かに
その通りです。
おそらく、消防署と協議して、
申請が必要だろう。
「軽油」や「危険物」の話となったら、消防署が関わってきます。
身近で火災が発生しない限り、なかなか消防署とは縁がないのが普通です。
実は比較的大規模な建築を設計する建築士・建築家は消防署となじみがあります。
例えば、集合住宅を建築する際は、建築の申請だけではなく、それと並行して「消防署との協議」が不可欠です。
消防署との協議は、
慣れているので、お任せください。
さまざまな協議を消防署としてきたので、自信があります。
良かった。
では、お任せしたい!
お任せいただくことになりました。
実は、軽油を貯蔵するタンクも
一緒に建築したい。
ここで、話が急展開しました。
軽油の貯蔵タンクの
設計はしたことないけど・・・
貯蔵タンクの設計経験はありません。
さらに明らかに「危険物」なので、設計も申請も大変そうです。
急展開しましたが、H先生の話が続きます。
地下に軽油貯蔵タンクを
建築したいんだけど。
かなり難しそうな計画の話になってきました。
次回は上記リンクです。