前回は「クリニック増築計画:設計プロセス 1〜困難な「増築」の建築確認申請・軽油発電機設置計画・危険物の扱いと申請〜」の話でした。
危険物である「軽油」の消防法の扱い

クリニックの増築を考えているH医師。
そして、大震災で大規模停電が発生した時、患者のために
停電でも大丈夫なように、
発電機を設置しよう。
と考えています。
そして、
軽油で発電するのだから、
軽油をたくさん貯蔵しておきたい。
と考えているようです。
もっともな理屈ですが、「軽油」のような危険物を設置するのは、建築設計者としては

易々とOKには
ならないだろう・・・
と考えます。
さらにH先生は、
地下に軽油貯蔵タンクを
建築したいんだけど。
と言い出し、
実は地下タンクを作る
工事業者とも相談している。
ということです。
非常に気の早い話です。
地下タンクの図面と
見積もりも出てきているんだ。
これを見て欲しい。



拝見します。
石油タンクの図面などを確認しました。
建築と設備:大きなタンクの役割


空き地にも色々と
タンクがあるでしょ。
あれと同じ感じで
地下にタンクを作りたい。
確かに、比較的大きなオフィスビルやマンションの近くには、タンクやボックスがあることが多いです。
昔のマンションには、受水槽という水を溜めておくタンクが設置されていました
最近のマンションではポンプを使用する為、受水槽はほとんどありません。


H医師のクリニックのあるビルの敷地内にも、いくつかタンクなどがあります。
これはこのビルが古い為、受水槽などのタンクであると考えられます。
また、電気室の代わりとなる配電盤などもあります。
これらの都市のインフラとして常備されている水・電気と軽油・石油は大きく異なります。
H先生が工事業者と相談している地下軽油タンクの図面を見ます。



初めて見る
図面だ。
軽油タンクの図面は初めてです。



ガソリンスタンド
みたいだな。
この地下タンクには、
4,500リットルの軽油が貯蔵できる。



4,500リットルですか。
かなりの量ですね。
大事な消防署との協議:消防法と建築設計


小学校などの25mプールの容量は、約54万リットルです。
それに比べれば、4,500/540,000なので1%にも満たない量です。
「プールの水量」よりは遥かに少ない量ですが、相手が軽油となると、大事なような気がします。
マンションやオフィスビルなどの申請は経験があるので、大体消防署の基準は頭に入っています。
「軽油の基準」は初めてなので、全く知識がありません。
しかも、H医師のクリニックビルは駅前の商業地の一角です。
「商業地の一角に軽油地下タンクをつくる」のは、簡単に許可が降りない気がします。



承知しました。



所轄消防署と
協議をして、ご報告します。
早く作りたいから、
頼んだよ。



なかなか難しい面も
あると思いますが、出来るだけ頑張ります。
まずは会社に戻って、消防法を調べて検討します。



軽油は「少量危険物」の申請に
なるのかな・・・



なにはともあれ、
所轄消防署の予防課と協議だ。
消防署との協議は「消防法が基本」ですが、「消防署の判断による」部分が非常に多いです。
マンションにおける細かな基準等においても、A消防署では
OKです。
である事柄が、B消防署では
不可です。
と言われることもあります。
そこで、所轄消防署の予防課に連絡を取り、早速対面での打ち合わせに向かいました。