慎重に進める土留工事〜頑丈に鉄骨で補強・基礎底面の確認・地盤改良せず「地盤の強さ」を活かす〜|蚕糸の森アパートメント6・東京の建築設計から

前回は「建物の基礎に関わる大事な掘削工事〜1次掘削と2次掘削・コンクリートの品質を決定するスランプ値と破壊検査結果・地下空間のある建築の深い掘削〜」の話でした。

目次

慎重に進める土留工事

蚕糸の森アパートメント:土留工事(新建築紀行)

掘削工事が進んで、建物の基礎を支える底盤(一番下)まで辿り着きました。

新建築紀行
蚕糸の森アパートメント:断面図(新建築紀行)

地下に居住空間を持つ「蚕糸の森アパートメント」は、その分建物の基礎深さが深くなります。

基礎をつくるまえには、まず深く土を掘る必要があります。

新建築紀行
石神井公園の集合住宅:根切工事(新建築紀行)

地下に居住空間がなく、基礎梁とピットのみの「石神井公園の集合住宅」と比較します。

今回の掘削の深さは、だいぶ深いのが分かります。

土を深く掘ることは、かなり大変な作業であり、慎重に進める必要があります。(上記リンク)

頑丈に鉄骨で補強

蚕糸の森アパートメント:土留工事(新建築紀行)

掘削開始時から設置されていた土留のための鉄骨は、さらに補強されました。

Yoshitaka Uchino

「だいぶ深く掘ったな」と
いう感じです。

この計画では建物周囲に比較的余裕がありますが、隣の建物の重量が隣の土地にかかっていいます。

掘り込んだ部分に、周囲の建物が倒れてこないように、しっかりと鉄骨で支えます。

前回の掘削開始の時から、建物の中央付近に鉄骨が補強されています。

Yoshitaka Uchino

こうしてみると、
「建築工事」というより「土木工事」のように感じます。

鉄骨が縦横にかけられてガッシリと土留の壁を支えています。

基礎底面の確認:地盤改良せず「地盤の強さ」を活かす

蚕糸の森アパートメント:土留工事(新建築紀行)

底面は綺麗にならされています。

底盤の配筋前に底面のレベル(高さ)を確認します。

Yoshitaka Uchino

地下のピットの高さを
現場で測定しました。

新建築紀行
蚕糸の森アパートメント:断面図(新建築紀行)

大きな建物をがっしりと支えるのが、この地面です。

地上4階、地下1階の建築であり、地面にかかる荷重は「5層分」の重量となります。

地盤にとっては「地上5階建と似た状況」になり、多くの場合は杭か地盤改良が必要です。

設計時には、

Yoshitaka Uchino

これは地盤改良は
必要そうだな・・・

「地盤改良が必要」と考えて構造設計者と相談しました。

Yoshitaka Uchino

地盤改良するなら、
出来るだけコストを下げたいのですが・・・

構造設計者

出来るだけ、
シンプルに構造設計します!

杭や地盤改良など「土工事」には意外とコストがかかります。

そのため、出来るだけ合理的に設計することを心がけました。

構造設計者

詳細に検討した結果、地盤が良好なので、
地盤改良をしなくても構造設計可能の見込みです。

検討の結果、「地盤改良は不要」とのことです。

地盤改良が不要なのは、コスト面で有利ですが、
「ギリギリ」で問題ないですか?

構造設計者

構造設計の余力などを考えると、
安全性は十分と考えます。

それでは、地盤改良なしで、
もともとあった地盤を大事にしましょう!

底面の地盤は、非常にきれいな関東ローム層です。

地盤改良すれば「地盤が強固になる」のですが、本来の地盤を人工的に固めることになります。

構造設計上OKなのであれば、「元々の地盤を大事にする」姿勢が良いと判断しました。

Mana Muraki

これなら、この上に5層分の鉄筋コンクリートの建物が乗っても、
しっかりと支えてくれそうですね。

次回は、底盤の配筋工事です。

次回は上記リンクです。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

新建築紀行

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