前回は「マンションの建築工事のプロセス〜厳しい建蔽率を逆手に取る設計・都市のヴォイドを生み出すデザイン・建物の高さの基準を決めるレベル設定・建築工事のスタートライン〜」の話でした。
建物を支える地盤と杭
石神井公園の集合住宅は、地上5階建ての鉄筋コンクリート造です。
建築の構造は「建築自体が頑丈」であることと同時に、「建築を支える地面も頑丈」である必要があります。
土の上に乗る建築が重くて「地面が支えきれない」時、建築が沈んでしまう可能性があります。
今回の建物は壁式鉄筋コンクリート造で、頑丈な地中梁で支えます。
計画地は頑丈な地盤でしたが、付近に川があることと5階建ての重量があることから、地盤のみでは建物を支えられません。
そこで、杭か地盤改良を
施工する必要がありました。
石神井公園の集合住宅では、設計の早い段階で「杭か地盤改良が必要」の条件で設計を進めました。
コストに配慮した最適な地盤改良の設計
石神井公園の集合住宅の後に設計した、蚕糸の森アパートメントは、同じ5階建て(5層)の建物です。
蚕糸の森アパートメントでは、地盤が頑丈だったので、杭も地盤改良も必要ありませんでした。
「沈まないように頑丈な岩盤等で建築を支える」場合、多くの場合は杭を施工します。
4階建て位までの建物でしたら、
鉄筋コンクリート造でも杭が不要な場合があります。
基本的に、 5階以上になると杭が必要です。
石神井公園の集合住宅は「地面の強さ=地耐力不足」のため、杭を施工することを検討しました。
事前にコストを管理して、
設計することが大事です。
杭はコストがかかるので、比較的コストが抑えられる地盤改良にしました。
綿密にコストを検討して、
地盤改良の方がコストが手頃に済みました。
事前に実施する地質調査の結果を踏まえて、構造設計事務所に地盤改良の設計をしてもらいます。
地盤改良の深さや範囲・柱状杭のサイズや数は
コストに非常に大きな影響を与えます。
そこで、地盤改良の構造計画は、適切なコストで進められるように構造設計事務所に検討してもらいました。
地盤改良と試験杭
本格的な施工の前に「試験杭」というサンプルを施工し、構造試験を行います。
その試験結果を踏まえて、最終的な地盤改良の設計が完了し、施工となります。
サンプルは実際の地盤改良と同様なので、大型のスクリューで地面を掘ります。
スクリューの大きさも確認して、綿密なサンプル作成を行います。
スクリューがグイグイ地面に入ってゆき、サンプルとなる試験杭を作るための穴を開けます。
穴を開けたら、特殊な工法で地盤改良の「サンプル=試験杭」を作ります。
試験杭の試験結果は
OKです!
試験杭完成後は無事、十分な構造性能が確認されました。
これで、
予定通りの設計で進められますね。
次回は、地盤改良工事の話です。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。