前回は「設計とデザインの実務の流れとコンセプト〜最も大事な最初のイメージ・計画地を見て感じること・建主の要望とコンセプト〜」の話でした。
設計の前の大事な現地調査
石神井公園の集合住宅の設計依頼を受けてすぐ、現地に向かいました。
石神井公園は僕が小学生の頃に何度か行ったことがある、非常に馴染み深い公園です。
懐かしいな・・・
社会人になってからは行かなくなっていた石神井公園。
今回の集合住宅の計画地は、石神井公園に隣接する、自然に恵まれた立地です。
この地に
「集まって住む」集合住宅を設計するんだ・・・
石神井公園の端に当たりますが、北から西にかけて石神井公園の大きな木々が広がります。
さらに南側には大きな寺院があり、寺院にある大きな木もまた計画地の大きな特徴です。
いわば、三方を広大な自然に囲まれた、東京都は思えないほど恵まれた計画地です。
建築基準法と条例のチェック:風致地区の強い規制
たくさんの木に囲まれた計画地です。
石神井公園には有名な大きな池があって、ボートもできます。
都内有数の大きな公園である石神井公園に隣接している計画地。
そのため、強い法規制がかかっています。
建築を設計する際に最も大事なのは、建築基準法に関する諸法規です。
この法律によって、建築面積・延床面積(容積率)・高さなどが制限を受けます。
この計画地で強い規制があったのは「風致地区」の規制です。
・都市の風致(樹林地、水辺地などで構成された良好な自然的景観)を維持する
・良好な自然的景観を形成している区域のうち、土地利用計画上、都市環境の保全を図るため風致の維持が必要な区域
非常に大事で広大な自然景観を持つ石神井公園。
この地には、強い風致地区としての指定が練馬区によってされていました。
中でも、強い規制があったのが建蔽率でした。
建蔽率は約40%に制限されるため、非常に強い法的規制となります。
マンション・集合住宅建築の際は、
出来るだけ、床面積・容積率一杯に
設計してください。
「出来るだけ容積いっぱいで」と要望を受けます。
大きな床面積を持つ建物を建てるには大きな費用がかかりますが、大きいほど経済効率が良くなるからです。
そのため、建築面積・建蔽率は「あまり配慮する必要がない」のが実態です。
建蔽率40%とは、
非常に厳しい・・・
地鎮祭:「建築開始!」の強い気持ち
あまりに強い法規制のため、紆余曲折がありましたが設計が完了し、建築確認申請等の申請が終了しました。
いよいよ「森に囲まれた」計画地で、集合住宅建築が開始します。
地鎮祭の開催は、春先の桜満開の時期でした。
石神井公園と広い寺院に隣接した、非常に緑豊かな計画地です。
地鎮祭が始まります。
いつになっても、地鎮祭は本当に気が引き締まります。
「これから建築が始まるぞ!」と
気合が入ります。
この素晴らしい土地で、地上5階建ての集合住宅(マンション)を建築します。
次回は、配置を決める「レベル設定」です。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。