前回は「慎重に行うピットの配筋検査〜構造設計者がしっかりチェック・緻密に組み上げられた「作品のような」鉄筋・大事な意匠設計者と構造設計者の協業〜」の話でした。
ピット耐圧盤工事
配筋検査の指摘事項の対処が完了し、いよいよ最初のコンクリート打設になります。
まずは、最も下部の耐圧盤を打設します。
壁式鉄筋コンクリート造は、各部分の直方体の「直接基礎」を掘った地盤につくる方法が多いです。
今回は木造個人邸の基礎と同様に、平たい耐圧盤を最下部に設置する構造にしました。
木造住宅は、昔は布基礎と呼ばれる工法が多かったですが、2000年頃から耐圧盤を施工する「ベタ基礎」が中心です。
建物の重量が遥かに軽い木造で「ベタ基礎」とするのは、構造的安定確保もありますが、湿気対策もあります。
ベタ基礎=コンクリート基礎は、地面と木造建築を完全に遮断します。
そして、地面から湿気が上がってきて、木造躯体を傷める可能性を大きく下げます。
安定感が高い耐圧盤と基礎のハイブリッド構造
建物と同じ形状の平たい耐圧盤が、
下部の地面にドッシリと乗るので安定します。
地面に基礎を差し込むように設置して、構造を作りだす事が多い鉄筋コンクリート造。
最下面の耐圧盤は、全ての基礎を合体して、非常に堅牢な構造となります。
さらに、ピット周囲が鉄筋コンクリートで覆われるため、設備のメンテナンス性も向上します。
このように、耐圧盤を設置することは、多少のコストアップにつながりますが、
耐震性の向上と設備メンテナンス性の向上は、
コストアップを大きく上回ると考えます。
建築コストは非常に大事なので、
かけるところはかける姿勢が大事です。
合理的な設計をして、
総工事費は削減するようにします。
耐圧盤下部の断熱材施工
そして、断熱材を施工してゆきます。
時期によっては結露が発生しやすいので、
断熱材を、きちんと施工することがポイントですね。
今回は、地下は趣味のためのスペースとして使われます。
倉庫などのモノだけではなく、人が短期間でも居住するスペースなので、断熱材は非常に重要です。
分厚い断熱材がギッシリと満遍なく設置されてゆきます。
これで断熱性能はバッチリです。
地下は機械換気しますが、地上部分に比べて空気の流れは少なくなります。
時期によっては結露が発生しやすいので、
断熱材を、きちんと施工することがポイントですね。
公園の樹木が青々としてきた中、入念に工事が進められてゆきます。
次回は、ピットの配筋検査です。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。