前回は「デザインとコストダウンのアイデア 2」の話でした。

今回は、木造新築の構造を合理的に設計する話です。
茨城の家を例に、木造軸組構造の合理的設計を考えます。
この家は、私たちの最初の作品です。
詰めが甘いところがありますが、たくさんの模型を作成して、図面をしっかり描きました。
初めての経験がたくさんあった現場監理は、今では良い思い出です。

茨城の家は、1階の広いリビングに建てる柱を2本に限定し、合理的に設計することを考えました。
構造設計の専門家の方に、構造設計を依頼しました。
これは、かなり柱スパンが跳んでいるから、
梁が大きくなるね。

出来るだけ梁のサイズを小さくして、揃えたいです。
木造の構造のコストは、基本的には材積という、木材の体積によります。
使用する木材が多いほど、コストがかかります。
近年、大きく発達した集成材を使用することもあります。
無垢の材料に比べて、品質が安定し、強度が強い集成材は、頑丈な構造をつくるには最適です。
しかし、コストが上がります。


合理的設計によって、コストを下げるためには、出来るだけ集成材ではなく、一般的な木材の方が良いです。
また、大規模建築である場合を除き、継ぎ接ぎしている集成材は、無垢材よりも少し「加工された感じ」が出ます。
大規模建築を除いた理由は、大規模建築の場合は、柱・梁共に大型になるので、多くを集成材にせざるを得ないからです。
柱を、あらわし(露出)にする場合は、特に出来るだけ無垢材にしたいです。
木造建築では、柱は3寸5分(105mm)角と4寸(120mm)角が一般的です。
4寸角の方が頑丈なのですが、3寸5分の柱でつくる個人邸等の木造建築も頑丈に作れます。


首都圏の古い木造建築は、3寸5分角の柱でつくられていることが多いです。
また、地方は大黒柱などの大きな柱を好む傾向が強かったため、4寸角の柱がほとんどです。
場合によっては、5寸(150mm)、6寸(180mm)角の柱も、珍しくありません。
茨城の家では、4寸角の柱にしました。



合理的でシンプルな構造にしたい!
シンプルになるように考えましょう!
構造設計者と色々と相談します。