前回は「デザインとコストダウンのアイデア〜合理的設計による建築費のコストダウン・地震と建物・建物にかかる地震力〜」の話でした。
地震力と建物の重量:鉄筋コンクリート造の弱点
地震力は基本的に「加速度aが重量mの建物にかかる」と考えます。
建物にかかる力Fは、運動方程式により「F=ma」となります。
そのため、建物の重量によって、地震力は大きく変わります。
そこで、「建物を軽量化すること」は地震力の低減につながり、建物の耐震性を大きく向上させます。
建物の重量は非常に大きく、中でも構造邸・躯体の重量の比率が大きいです。
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の中で、最も耐震性が高いのは、
文字通り、鉄筋とコンクリートで、
ガッチリした感じ。
一番頑丈で、
耐震性が高いと思う。
鉄筋コンクリート造と考える方が多いかもしれません。
鉄筋コンクリート造は「太い鉄筋+硬いコンクリート」で、非常に強いです。
ところが、実は鉄筋コンクリート造には大きなデメリットがあります。
それは「非常に重いこと」です。
非常に重い鉄筋コンクリート造には、大きな地震力がかかってしまいます。
鉄筋コンクリート造の強み:木造・鉄骨造との比較
鉄筋だけでも非常に頑丈な感じがしますが、特にコンクリートの重量が重いため、地震力が大きくなります。
非常に頑丈なのですが、「重いため、地震力が大きくなる」という点も大きなポイントです。
そのため、鉄筋コンクリート造は木造・鉄骨造に比べて、耐震性の面ではやや不合理な面があります。
一方で、鉄筋コンクリート造には大きな強み・メリットがあります。
それは「燃えないこと」です。
火に燃えないので非常に耐火性が高く、鉄筋コンクリート造自体が「耐火構造」となります。
建物が高くなるにつれて、
火災による危険性が高くなります。
「燃えない」鉄筋コンクリート造の建物は
非常に安心感が高いです。
「鉄筋コンクリート造よりも、比較的軽い」木造と鉄骨造は、地震力が弱くなります。
地震力が弱くなるため、相対的に構造は頑丈になります。
この意味において、木造・鉄骨造は、非常に合理的です。
しかも、木造は「自然の木」を使用する(一部は集成材)ため、「自然に優しい構造」です。
建築設計におけるコストダウンのポイント:合理的な木造の弱点
鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて、少し華奢な感じもする木造。
この華奢な感じで、建物をしっかり支えます。
構造体としてはスグレモノで合理的な、木造と鉄骨造は、非常に大きな弱点があります。
それは「燃えること」です。
そのため、大きな建物では耐火性能を高める必要があります。
そして、「耐火被覆(耐火性のある材料で覆う)」などの必要があります。
近年、建築技術アップで、木造の大規模建築の方向性が出ています。
建物のデザインや計画地の地盤等によって、「耐震性の強さ」は変わります。
それぞれの特性をよく考えた上で、建物に最もあった構造体を選ぶことが大事です。
そして、合理的にシンプルに
設計すると耐震性が向上します。
これが、合理的な設計で、適切なコストダウンを図る大きなポイントです。
次回は上記リンクです。