基本コンセプトから発展するイメージ〜テラスを都市に伸ばす・街に働きかける建築・白い板がひらりと浮遊したようなガレージ〜|熊本の家のプロセス2・東京の建築設計

前回は「設計とデザインの実務の流れとコンセプト〜最も大事な最初のイメージ・計画地を見て感じること・建主の要望とコンセプト〜」の話でした。

目次

基本コンセプトから発展するイメージ

ダイアグラム(新建築紀行)

熊本の家の基本コンセプトが決まりました。

Yoshitaka Uchino

外部のテラスのヴォイドが
この建築の中心です。

熊本の家:コンセプト模型(新建築紀行)

そして、外部ヴォイドのテラスから、自然の光と風が内部空間を駆け巡ってゆくイメージです。

Yoshitaka Uchino

シンプルな箱型の建築から、
外部ヴォイドを欠きとったイメージです。

このヴォイドによって、建築に新たな生命が生まれます。

そして、この基本コンセプトからイメージを膨らませて、デザインを発展させてゆきます。

テラスを都市に伸ばす:街に働きかける建築

テラスから都市を眺める

熊本の家の計画地は、熊本ならではの特色があり、阿蘇山が見えます。

ただ、阿蘇山は敷地に対して東側ですから、テラスからは見えません。

配置図(新建築紀行)

ヴォイドを東側に向ければテラスから阿蘇山は見えます。

自然の光を最大限に受け止めるために、南向きとしました。

そして、建築の外観デザインとしても、道路側からヴォイドが見える方がデザインが際立つと考えました。

新建築紀行
熊本の家:外観(新建築紀行)
Yoshitaka Uchino

テラスから阿蘇山を
臨めるようにしたい。

そこで、外部ヴォイドとしてのテラスを南側に少し伸ばしました。

突き出したテラスからは阿蘇山や周辺の街並が見えて、様々な視界が開けます。

Mana Muraki

外部テラスの空間に、
新たな意味が生まれますね。

熊本の家:ダイアグラム(新建築紀行)

またテラスを都市・街に伸ばしたことで、建築と都市の関係性が深まります。

「都市・街に働きかける建築」のイメージです。

そして、テラスの空間が活性化されます。

白い板がひらりと浮遊したようなガレージ

新建築紀行
熊本の家:1/50模型(新建築紀行)

建主の要望で、「2台分のガレージ」が必要でした。

ガレージによって、「白い箱に外部ヴォイド」のデザインが損なわれてしまわないように考えました。

Yoshitaka Uchino

ガレージの白い屋根を、
デザインに活かしたい!

そこで、ガレージを建築と一体化させ、白い板が浮いたようなデザインにしました。

この白い板は鉄骨の柱で支えられますが、本体の建物でも支持しています。

ダイアグラム(新建築紀行)

建物南側に配置された庭は、太陽の光が燦々と注ぎます。

Mana Muraki

お庭は、とても気持ち良い空間に
なりそうですね。

出来るだけオープンな感じにしたいのですが、やはり前面道路とは少し区切りたいです。

小さなお子様がいらっしゃるので、子どもが道路に行ってしまわないような配慮が必要でした。

Mana Muraki

子どもは、予期しない行動を取ることが
ありますね。

そこで、南側にはコンクリート打ち放しの壁面を配置しました。

庭とコンクリート打ち放しの壁(新建築紀行)

庭と外部空間を強く、そして少し柔らかく区切り、プライバシーと安全性を確保しました。

Yoshitaka Uchino

これで、設計の基本的なアイデア・イメージが
固まりました。

主要な部屋を配置して、必要に応じて廊下・経路を作ります。

設計の際は、「ただ部屋に至るだけの廊下」は作らないようにしています。

廊下の空間は「道空間」と考え、歩いていて楽しい空間づくりを考えています。

熊本の家でも、道空間をテラスのヴォイドの周囲に配置して、「歩いて楽しい」空間にしました。

次回は上記リンクです。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

新建築紀行

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