建築模型と設計・デザイン〜模型の力・スタディモデル・光の検討〜|東京の建築設計から

前回は「茨城の家 2〜家の工事の流れ・配筋工事〜」の話でした。

目次

設計プロセスと模型

茨城の家:模型(新建築紀行)

今回は、現場を少し離れて、設計プロセスの話です。

建築を設計・デザインする際は、スケッチしながら考えて、まずコンセプトを固めることが大事です。

その過程で、様々な「スタディモデル」と呼ばれるラフな模型を作って、検討を進めてゆきます。

Yoshitaka Uchino

最も大事なことは、
自分の頭の中の「イメージ」です。

そのイメージが「形」となってゆくプロセスがデザインです。

そのプロセスにおいて、「明確にデザインが実現しているか?」は、模型で検証します。

あるいは「デザインがクリアになっているか?」、プロポーションの検討にも、模型は非常に大事です。

CAD図面と模型

茨城の家:模型(新建築紀行)

僕の学生時代は、CADが流行り始めたころでした。

学部時代にCADで図面を描いている人がいると

大学生の筆者

おおっ!
これはすごい!

当時は、かなりの衝撃をうけたものです。

最近の建築学科の学生さんでは、信じられない話だと思います。

やはり、現実のイメージを考えたり、あれこれデザインを練るには模型が一番良いです。

模型を見ながら、

Yoshitaka Uchino

この部分は、
このようにしようかな・・・

色々と思いを膨らまして、

このヴォイドを少し
広げると面白いかな・・・

空間を思い浮かべながら、変更したりします。

茨城の家の最も重要なコンセプトである「外部ヴォイド」は、最初のイメージです。

茨城の家:プロセス(新建築紀行)
茨城の家:プロセス(新建築紀行)

この外部ヴォイドに対する「内部ヴォイドのデザイン」は様々考えました。

Yoshitaka Uchino

模型をカッターなどで、
直接加工したり・・・

Yoshitaka Uchino

模型の向きを
変えたりして、考えました。

茨城の家:プロセス(新建築紀行)
茨城の家:プロセス(新建築紀行)

そして、「大きなヴォイド」と「小さなヴォイド」は、模型を作りながら生まれたデザインです。

模型に光を当てて考える

茨城の家:模型(新建築紀行)

茨城の家では「内外の複数のヴォイドにより、様々な自然光を取り込む」ことがコンセプトでした。

そこで、実際に模型に光を当てて、様々考えながら設計を進めました。

茨城の家:リビング(新建築紀行)

光の感じやプロポーションは、模型である程度検証できています。

Yoshitaka Uchino

うん。
イメージしている感じだ・・・

南側からの「強い光」と北側の「安定した柔らかな光」が、空間に光の揺らぎを与えます。

模型に光を当てて、色々と考えていました。

Yoshitaka Uchino

北側の光が思いのほか、
綺麗であったのに感動しました。

茨城の家:余白のヴォイド(新建築紀行)

「北側の光」は「明るくない印象」が一般的かもしれません。

実は、北側の自然の光は、安定したフワッとした柔らかな光で「優しい光」です。

夜景のイメージ

茨城の家:模型(新建築紀行)

「大きなガラスブロックから差し込む自然の光と様々な光の交錯」がテーマの茨城の家。

夜は、反転して室内の照明の光が発光し、都市を照らし出します。

そのイメージを模型で検討するために、周囲を暗くして、照明の光を模型に当てました。

Yoshitaka Uchino

実際の建築の夜景の
イメージがよく分かります。

茨城の家:夜景(新建築紀行)

この様に、設計を検討する際には欠かせない存在であり、非常に重要な模型。

スタディ模型でデザインを決定したら、建主にお見せするために、丁寧に作成した模型を作成することがあります。

次回は上記リンクです。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

新建築紀行

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