前回は「幼稚園リノベーションの設計プロセス①〜どこに耐震壁を設置するか・綿密な設計・既存の壁面を耐震壁に変える発想〜」の話でした。
幼稚園リノベーションの設計プロセス②:耐震壁設置位置の行方
みそら幼稚園リノベーション・耐震改修の設計では、園児・先生方が健やかに過ごせる空間にしたいと考えました。
・建物の耐震強度の大幅な改善
・老朽化して暗いトイレなどをリノベーション
まずは耐震改修をして、「必要な耐震基準を満たす」ことが大事です。
・園児達の安全に少しでも影響がないようにしたい
・園児達が、工事の粉塵などを吸うリスクはなくしたい
この耐震改修では、私たちが提携する構造設計会社に構造設計を依頼しました。
詳細に構造設計を検討しましたが、
耐震壁を追加する必要があります。
なんとか、耐震壁追加なしで
耐震改修できませんか?
「ぶ厚い鉄筋コンクリートの壁=耐震壁」は、あまり嬉しくないです。
どうしても、X方向の耐震性が
確保できないので、1箇所耐震壁が必要です。
「ぶ厚い鉄筋コンクリートの壁=耐震壁」を
どこに配置するか・・・
現地調査を踏まえて、様々なシミュレーションをしました。
出来るだけ、園児や先生方の
園での生活に影響が出ないようにしたいですね。
「どこかに新たな壁を入れる」ことは、どうしても「それまでの縁の運営に影響が出る」ことになります。
園の運営に影響が出るのを
最小限にしたいね・・・
今まで壁があったところを、
耐震壁に出来ないかな?
今まで壁だったところなら、
問題なさそうですね。
構造設計とデザインを兼ねた方向性が固まりました。
既存の壁を伸ばして増築:耐震壁を生み出す発想
みそら幼稚園の保育室は、少し変わったプランでした。
保育室①と保育室②の間に、台形の外部空間があります。
この外部空間は、上に二階の床があるため、暗がりだったでしたので、有効活用されていませんでした。
そこで、「もともと外部であった部分」に壁を伸ばします。
「壁を伸ばして耐震壁として、有効に使われていない外部を内部にして、少し増築する」案です。
そして、この壁面を耐震壁とする案です。
これなら、
園の運営にほとんど影響が出ませんね!
この案をご説明すると、園長先生たちには即座に大いに賛同してくれました。
保育室が少し広くなるし、
トイレも広くなる。
とても
良いですね!
ご好評頂き、とても嬉しいです。
少し広くなるトイレは、
全面的にリノベーションします。
そして、可愛らしくて
園児たちに優しい雰囲気に変えます。
ぜひ
そうして下さい!
園長先生たちも、大いに喜んでくれました。
「有効活用されていない」空間を活かすデザイン
私たちが「有効活用されていない」と考えた外部の空間は、園長先生たちも同様に考えていました。
実は「物置のような場所」だったのです。
しかも、少し窪んだ形をしていました。
子どもたちが
隠れて遊んだりするから・・・
園の管理上良くないので、
どうにかしようと考えていました。
子どもたちは、そういう場所が
好きですね。
私たちの設計で、
子供たちが隠れて遊ぶ「危険な場所」が・・・
保育室やトイレとなり、
有効活用されます。
この壁を「ぶ厚い耐震壁」として、耐震性を大幅にアップします。
更に、少し増築した為、新たに少し壁が増えます。
その壁も耐震壁とすることで、さらなる耐震性アップになります。
「有効活用されていない」空間を活かすデザインです。
まさに一石三鳥の案で、提案した私たちとしては、
とても嬉しかったです!
これで、設計の大きな軸が確定しました。
次回は上記リンクです。
完成写真は、下記からご覧ください。