リノベーション設計デザインと構造の架け橋〜梁のデザイン・既存軸組を活かす設計・模型でデザインを詳細に検討〜|練馬の家11・東京の建築設計

前回は「戸建住宅リノベーションの高い断熱設計〜心地よい住まい・見えてくる「建築の形」〜」の話でした。

目次

梁のデザイン:既存軸組を活かす設計

練馬の家:梁追加工事(新建築紀行)

耐震補強と断熱補強が完了し、いよいよ内部の仕上げが本格化しました。

「練馬の家」のデザインコンセプトは、「梁のデザイン」です。

シンプルなボックスのボリュームにランダムに架かっていた梁に、構造補強を兼ねて新たな梁を追加します。

練馬の家:アクソノメトリック(新建築紀行)

新旧の梁が、均等に並びます。

梁は通常、木造の住宅建築では「半間(910mm)ピッチ」で並びます。

この建築では、その半分の「1/4間=455mmピッチ」になるように梁をかけます。

かなり頑強な構造になると同時に、

Yoshitaka Uchino

整然と並ぶ梁が、
空間を引き締めます。

練馬の家:パースペクティブ(新建築紀行)

この「梁による空間の秩序」がテーマです。

整然と並ぶ梁によって、空間に「新たな秩序」をもたらすことを考えました。

模型でデザインを詳細に検討

練馬の家:模型写真(新建築紀行)

1/20の大きな模型を作成し、設計中に「梁のピッチの寸法」などを綿密に検討しました。

このくらいのスケールだと、雰囲気がかなり分かります。

Yoshitaka Uchino

スケールの大きい模型は、コンセプトや細かな事の
チェックや検討に役立ちます。

模型を作ると、CGでは気づかなかったさまざまなことがわかります。

人を入れると、スケール感がよくわかります。

Yoshitaka Uchino

この「梁の建築」に、
美しい自然の光をもたらしたい。

リビングとテラスの間には、南に面する大きな窓を設置したので、自然の光が差し込みます。

さらに、「綺麗な光をすくい取りたい」と考え、スリット状のフィックス窓をつけました。

練馬の家:サッシュ工事(新建築紀行)

工事中でも、光が差し込む様子がよくわかります。

リノベーション設計デザインと構造の架け橋

練馬の家:コンセプト(新建築紀行)

スリットによって、「掬い取られた」光が美しく差し込みます。

そして、梁の補強によって「頑強な箱」となったボリュームの一角に隙間が生まれます。

この「隙間」によって、「木造建築特有の柔らかな構造」を活かすことを考えました。

あまりに頑強に作りすぎると、地震のエネルギーを建築全体で受け止めてしまいます。

全体で受け止めても大丈夫なように、頑丈につくっていますが、

Yoshitaka Uchino

地震のエネルギーは、
少し逃すことも大事です。

スリットによって、美しい自然の光を取り込むだけではなく、構造体が少し分節されました。

そして、地震エネルギーを逃がして、より合理的で耐震性能の高い構造となりました。

次回は、跳ね出し階段を作ります。

次回は上記リンクです。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

新建築紀行

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