前回は「竣工写真撮影で気づく新たな発見〜思いがけないイメージの撮影・自然の光のゆらめき・光を空間にすくいとる・撮影しながら思いつくこと〜」の話でした。
シルエットと建築
建築の写真でよく見かける、人物だけがブレてシルエットのようになるシーンがあります。
あれは、人が走り去ったりしている
瞬間を捉えているのかな?
このように思っていましたが、実は違いました。
実際は、カメラのシャッタースピードを遅くして、動く人物を撮影するという手法でした。
柱が並ぶデザインを
写真で表現してみましょう。
村木さん、柱の間を
歩いてみてくれますか。
それでも、のんびり歩くとあまりシルエットの様にはなりません。
走るまでではなくとも、テキパキと早歩きで何度も空間を行き来します。
この撮影は、
ちょっとした運動になるな。
こう思った程、一日中動き回っていました。
今度は、柱の間のこの辺りを、
蛇行してみて。
こんな感じ
ですか?
うんうん。
いいね。
そこの柱の辺りで、
もう一度、色々な動きをしてみて。
こういう感じでは、
いかがでしょうか?
そう、
いいですね!
カメラマンの方が、次々に沢山の写真を撮影します。
緊張しながら、楽しみながら、柱の間を動き回りました。
自分がこうして、設計した空間を動き回るとは
思わなかったな・・・
カメラマンの方は、撮影モデルにもやる気を与えてくれる存在です。
竣工写真撮影と様々な「設計の気づき」
ちょっと、
待ってくださいね・・・
何かご要望が
ありますか?
ちょっと撮影した写真が多すぎて、
電池が切れました。
電池交換するから、
少し待ってください。
ここで、カメラマンの方が電池交換する間、小休憩です。
この時間で、
こんなにたくさんの建築撮影したのは初めてです。
カメラマンの方が「たくさん撮影する気になる」のは、設計者として、とても嬉しいことです。
竣工撮影だけど、
村木さんの撮影会みたいだね。
ははは。
確かにそうですね。
良い写真、
たくさん撮りますよ!
嬉しいけど、
緊張するな・・・
緊張しながらも、たくさんの動き回る写真を撮影して頂きました。
でも、こうして歩いたり動きながら撮影していると、
色々な気づきがあります。
この日の竣工撮影だけで、様々な設計の気づきがありました。
生活感とスケール感
ここで、少し生活感・スケール感を出してみました。
生活感・スケール感を捉えるという点では、棚に本を並べる事も見せ方の一つです。
表紙が美しい建築の本などは、写真で映えるということもありますが
本を置くことで、本棚のサイズ・空間のスケールが把握し易くなります。
この辺りに、
この程度でいいですか?
もう少しこっちにも
本を置こうか。
その作品集の本を読んで、
足をここにして。
こんな
感じですか。
そうそう。
いいね。撮りますよ!
レイアウトなども考えながら配置します。
時間をかけてようやく出来上がったプロジェクトを、改めて目の当たりにすると感慨深いです。
その為、一つ一つの撮影にもとても強い思い入れがあります。
ここでは、村木さんが
キッチンの引き戸を開いたり、閉めたりしてみてください。
分かりました。
こんな感じですか?
おっ、
いいですね!
こんどは、
こっちの方に来て、開いてみてください。
分かりました。
こんな感じで、いかがですか。
うんうん、
いいね!
今日は撮影していて、
僕も楽しいですよ!
思いを形にして表現する、それが誰かの為になるという事は、
やりがいを
感じる!
大いなるやり甲斐を感じます。
建て主の方々に、
この建築が
出来て良かった!
こう思って頂き、私たちも
この建築を設計させて
頂いて良かった!
「良かった」と思えるような設計を、これからも続けたいです。
竣工写真は、下記からご覧ください。
次回は上記リンクです。