前回は「色々な選択肢の中から「たどり着く」デザイン〜明るいリビングの要望・2階のリビングとたくさんの既存柱・建主の要望とデザインのきっかけ〜|練馬の家のプロセス1・東京の建築設計」の話でした。
建主希望の「2階リビング案」のデザインと検討
こんにちは。
築35年ほどの、木造個人邸の大規模リノベーションの練馬の家では、建主から、
階段が使いづらいので、階段の位置を
変えて、全面的に住まいを変えて下さい・・・
という要望がありました。
その上で、
今は1階にリビングがありますが、
昼間も、それほど明るくない感じです・・・
そこで、今回のリノベーションでは、
リビングは2階にしてください。
という具体的な要望を頂きました。
そこで、まずは「建主の希望通り」の「2階リビング」案を具体的に設計しました。
昭和に建てられた個人邸の多くの場合、既存建物の設計図書がない場合が多いです。
この家も「設計図書が残っていない」状況でしたが、現地調査でまず図面を復元しました。
現地調査の結果、既存の図面と状況を完全に把握した上で、模型を作って検討しました。
もともと、2階は子ども部屋やトイレなど個室が多い状況でした。
そのため、リビング2階案は、柱がたくさん出てきます。
建主の希望ではない「1階リビング案」の具体的検討
2階の上は屋根のみなので、一部の柱を抜くことは構造的に可能です。
「構造的に可能」ですが、そのためには梁で補強する必要があり、コストアップが見込まれます。
「柱を抜く」のではなく、
既存の建物・構造を
活かしたデザインにしたいね・・・
リノベーションなので、既存の建物・構造を活かしたいと考えました。
既存の柱は
抜かずに、デザインに活用しよう!
そこで、「露出する柱を活かした空間デザイン」を設計しました。
柱を利用して、
机や棚をつくってみよう。
柱を活かした
デザインになりますね。
デザインを進めて、模型や図面で設計を進めます。
既存の柱によって、棚や机が自然な感じでつくられるのは、とても良いデザインです。
一方で、一般的には「柱が多い」のは、建主にとって「好ましくないこと」かもしれません。
そこで、次に、1階リビングの案を、私たちが独自に検討しました。
「建主の要望に応える」ことが設計の最重要な姿勢であれば、
リビングは2階に
して下さい!
という建主の希望に「反する」ことになる「1階リビング案」。
それでも、
「1階リビング案」の方が
良いデザインになる可能性があるから・・・
もう一度、条件を整理して、
しっかり検討してみよう。
もう一度、既存建物の状況を再確認して、「1階リビング案」の検討を進めました。
様々なデザインの具体的展開:既存の庭の積極的活用
現地調査の際の写真を確認して、ディスカッションを進めました。
1階には、使われていない
お庭があるね。
あの空間は、
活かしたいですね。
既存の庭は、南側に面していますが、雑然とした感じでした。
さらに、2階のバルコニーの柱があるため、あまり活かされていない状況でした。
南側で明るい庭なので、
いい空間にしたいですね。
そこで、まず庭の空間をテラスにして、テラスにする案を考えました。
庭の空間を
木製デッキのテラスにしよう。
そして、
リビングと一体化させてら、どうだろう?
アウトドアリビングになって、
広く使えていいですね。
お庭が
活きて良いですね。
具体的にプランを練って、模型を作ってみました。
模型を作ってみて、
庭の樹木も作ります!
柱を考慮したところ、1階なら露出する柱が少ないこともわかりました。
もともと、キッチン・リビング・和室と広めの部屋が続いていたのが、既存建物の1階でした。
そのため、箱型のボリュームが梁で支えられ、柱が少ない構造でした。
1階リビングは、
開放的で明るい空間になりそうだね。
明るくて、
伸び伸びした空間です。
このようにして、1階リビング案の検討も進め、模型を作成しました。
1階リビングの方が、
良さそうだね。
建主には
それぞれの案をご説明しよう。
両案のデザイン案を
しっかり建主に、ご説明しよう。
僕たちとしては、
「1階リビング案」を建主に勧めよう。
私も
それが良いと思います。
建主のご意見を尊重しながら、私たちの考える案を考えます。
いくつかの検討案を経て、設計案をまとめ上げていきました。
そして、建主希望の「2階リビング案」と私たちの「1階リビング案」の両方を説明することにしました。