前回は「アイデア:道空間 6~光の廻廊・縁側・空間の軸・ふじみ幼稚園~」の話でした。
生命ある住宅の道空間:熊本の家
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今回は、熊本の家の道空間です。
道空間のコンセプトを住宅において、創り出したいと考えています。
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人が歩くことで楽しめる「道空間」は、どうしても「ある程度の規模」が必要です。
部屋と部屋、あるいは空間と空間を接続する「道空間」。
「道空間」自体がテーマでない限り、「道空間」の実現には主たる空間が複数必要です。
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廊下や階段は「脇役」となることが多い集合住宅・マンションや幼稚園などの建築。
その場合も、一定の規模がある為、廊下や階段を道空間に見立ててデザインすることが出来ます。
一方で、一般的な規模の住宅では「道空間」を作りにくいのが実情です。
豪邸などの大きな建築でない限り、「各部屋を接続する道空間の規模が小さい」からです。
テラスの広場と道空間
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熊本の家では、2階のテラスを広場と考えました。
そして、生活がテラスを中心に展開するように考えました。
動線をコンパクトにし、広場であるテラスの周囲に道空間をつくり、2階の各室をつなぎました。
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テラスを囲む道の空間では、テラスやトップライトからの様々な光を感じることが出来ます。
そして、2階の各部屋を行き来する時に、変化する四季折々の光を楽しみながら歩くことを意図しました。
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広場と道空間の複合的展開
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住宅内部で部屋から部屋へ移動する経路・廊下。
この空間を、楽しむことのできる「生命ある空間」にしたいと考えました。
吹抜と道空間を関係づけ、道の空間を直線ではなく、テラスを囲む折れ曲がりのある空間としました。
日本古来の「祭りを練り歩く」ようなイメージです。
テラスへは廊下から、あるいはテラスの両側の子ども部屋からアクセスすることが出来ます。
そして、階段の空間には、テラスからの光が差し込み、壁面でバウンスして柔らかな光となります。
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柔らかな自然の光に
包まれた階段の空間です。
2階の空間は、テラスを中心とした回遊性があります。
そこで、子ども達はテラスと道空間としての廊下と自分達の部屋を走り回るでしょう。
住宅において広場と道空間を複合的に展開し、無限の広がりをもつ空間の創出を目論みました。
次回は上記リンクです。