前回は「幼稚園・保育園の新築設計・計画のポイント 3〜運動会・イベントの体験を設計に活かす・ボリュームと配置計画・道空間・廻廊と走り回る子どもたち・園庭のトラックと廻廊・園の思い〜」の話でした。
現地調査からコンセプトへ
建築設計をする際は、計画地や既存建物の現地調査が非常に大事です。
それらを調査したり、計画地を歩き回りながら、
こんな
イメージはどうだろう・・・
などと、いろいろ考えたり、デザインのイメージとコンセプトを練ってゆきます。
この富士見幼稚園のあとに、みそら幼稚園のリノベーションの設計をした際のこと。
リノベーションなので、現地調査が非常に重要でした。
さらに、ちょうど打ち合わせする際に、園にきていた子どもたちと触れ合う機会があったので、
この子たちの
ために「新たな園」をつくろう!
こう考えたのでした。
様々な設計をする際に、非常に重視する現地の状況。
富士見幼稚園の設計の際には、園長先生から運動会にお招き頂いたことは、非常に大事なことでした。
道空間・回廊と庇:建築と歴史を紡ぐ姿勢
既存の幼稚園では、園庭をぐるっと囲むように廊下がありました。
この廊下で、のびのびと歩いて楽しむ子どもたちを見て、
この廊下を
回廊のようにして再生しよう。
と考えました。
新しい建築には、既存の建築とは異なるので、「新たなコンセプト」で設計したいです。
一方で、今回のように「元の園舎から新たな園舎へ」という時には、「歴史」を重視します。
元の園舎にあった建築デザイン・コンセプトを、新たな園舎の設計のコンセプトに活かしたいと考えました。
それによって、「歴史をつなげる」ことになり「幼稚園の歴史を紡ぐ」ことにつながります。
園庭を保育室が
囲む今のレイアウトは気に入っている。
という園長先生のご要望。
このご要望から、新園舎と旧園舎で、大きくボリュームの配置は変えないことにしました。
代わりに、新園舎では保育室が増え、遊戯室の面積も大きくなるので、建築としてのボリュームは大きくなります。
新たな園舎で「継承する」回廊・道空間。
ここがデザインの最も大事なポイントでした。
シンプルで、
少し広がりのある庇・・・
そして、自然光を
柔らかく取り込みたい・・・
回廊は庇があるものの「外部空間」なので、基本的に明るい空間です。
その明るい空間で、少し奥の深い庇を作り、自然光を印象付けたいと考えました。
新たな園舎においても、
回廊をつくりますが・・・
少し、回廊の幅を広くして、
子どもたちがのびのび過ごせるようにしたいと思います。
それは
いいね!
園長先生に喜んでいただき、ご承認いただきました。
既存の回廊の幅は、約2.5mほどでありました。
たいして、新たな回廊では幅を3.6mほどにしようと考えました。
ちょうど、日本の木造建築のモジュールである2間です。
だいたい、六畳間の長手の長さです。
幅は、2間にしたいと
思いますが、いかがでしょうか。
それは
いいね!
建築に限らず、「歴史を紡ぐ」姿勢は大事だと思います。
連綿と続く歴史に対して、深く考えて、建築の設計・デザインを続ける姿勢が大事です。
私たちは歴史にも大きな興味をもっており、別サイト「新歴史紀行」(上記)で歴史のご紹介をしています。
ぜひご覧ください。
竣工写真は、下記リンクからご覧ください。