幼稚園・保育園の新築設計において歴史を紡ぐ姿勢〜調査・体験からコンセプトへ・既存園舎から新園舎へ・道空間・回廊と庇〜|富士見幼稚園4・東京の建築設計

前回は「幼稚園・保育園の新築設計・計画のポイント 3〜運動会・イベントの体験を設計に活かす・ボリュームと配置計画・道空間・廻廊と走り回る子どもたち・園庭のトラックと廻廊・園の思い〜」の話でした。

目次

現地調査からコンセプトへ

田無富士見幼稚園:イメージ(新建築紀行)

建築設計をする際は、計画地や既存建物の現地調査が非常に大事です。

それらを調査したり、計画地を歩き回りながら、

こんな
イメージはどうだろう・・・

などと、いろいろ考えたり、デザインのイメージとコンセプトを練ってゆきます。

この富士見幼稚園のあとに、みそら幼稚園のリノベーションの設計をした際のこと。

リノベーションなので、現地調査が非常に重要でした。

さらに、ちょうど打ち合わせする際に、園にきていた子どもたちと触れ合う機会があったので、

この子たちの
ために「新たな園」をつくろう!

こう考えたのでした。

幼稚園の運動会(新建築紀行)

様々な設計をする際に、非常に重視する現地の状況。

富士見幼稚園の設計の際には、園長先生から運動会にお招き頂いたことは、非常に大事なことでした。

幼稚園の運動会(新建築紀行)

道空間・回廊と庇:建築と歴史を紡ぐ姿勢

田無富士見幼稚園:模型(新建築紀行)

既存の幼稚園では、園庭をぐるっと囲むように廊下がありました。

この廊下で、のびのびと歩いて楽しむ子どもたちを見て、

この廊下を
回廊のようにして再生しよう。

と考えました。

新しい建築には、既存の建築とは異なるので、「新たなコンセプト」で設計したいです。

一方で、今回のように「元の園舎から新たな園舎へ」という時には、「歴史」を重視します。

元の園舎にあった建築デザイン・コンセプトを、新たな園舎の設計のコンセプトに活かしたいと考えました。

それによって、「歴史をつなげる」ことになり「幼稚園の歴史を紡ぐ」ことにつながります。

園庭を保育室が
囲む今のレイアウトは気に入っている。

という園長先生のご要望。

このご要望から、新園舎と旧園舎で、大きくボリュームの配置は変えないことにしました。

代わりに、新園舎では保育室が増え、遊戯室の面積も大きくなるので、建築としてのボリュームは大きくなります。

新たな園舎で「継承する」回廊・道空間。

ここがデザインの最も大事なポイントでした。

シンプルで、
少し広がりのある庇・・・

そして、自然光を
柔らかく取り込みたい・・・

回廊は庇があるものの「外部空間」なので、基本的に明るい空間です。

その明るい空間で、少し奥の深い庇を作り、自然光を印象付けたいと考えました。

新たな園舎においても、
回廊をつくりますが・・・

少し、回廊の幅を広くして、
子どもたちがのびのび過ごせるようにしたいと思います。

それは
いいね!

園長先生に喜んでいただき、ご承認いただきました。

既存の回廊の幅は、約2.5mほどでありました。

たいして、新たな回廊では幅を3.6mほどにしようと考えました。

ちょうど、日本の木造建築のモジュールである2間です。

だいたい、六畳間の長手の長さです。

幅は、2間にしたいと
思いますが、いかがでしょうか。

それは
いいね!

建築に限らず、「歴史を紡ぐ」姿勢は大事だと思います。

連綿と続く歴史に対して、深く考えて、建築の設計・デザインを続ける姿勢が大事です。

私たちは歴史にも大きな興味をもっており、別サイト「新歴史紀行」(上記)で歴史のご紹介をしています。

ぜひご覧ください。

竣工写真は、下記リンクからご覧ください。

新建築紀行

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