幼稚園・保育園の新築設計で大事なこと〜運動会・イベントの体験を設計に活かす・ボリュームと配置計画・道空間・廻廊と走り回る子どもたち・園庭のトラックと廻廊・園の思い〜|富士見幼稚園3・東京の建築設計

前回は「幼稚園・保育園の新築設計・計画のポイント 2〜運動会訪問と設計コンセプト・園庭と園舎・現地調査〜」の話でした。

目次

ボリュームと配置計画

幼稚園の運動会(新建築紀行)

設計監理のご契約を頂き、具体的な設計を早速進めてゆきます。

戸建住宅なども同様ですが、施設などの比較的大規模な建築の場合、ボリュームの配置が大事です。

施設の運営側の希望する人数が入ることができるか、あるいは建築基準法などの法規に適合するか、です。

そこで、まずは幼稚園のボリューム・配置の提案をしました。

A案は、
「保育室を1階のみに展開する案」です。

B案は、
「2階にも保育室がある案」です。

まだまだ「設計の初期段階」だったこの時、園長先生から、

うちが非常に大事にしている
運動会を実際に見てもらいたい!

とのご要望を受けて、20年以上ぶりに幼稚園の運動会にやってきました。

現在の園庭を保育室で
グルッと囲むプランも良いですね。

そうなんだ。
園庭と保育室が一体感がある。

特に「イベントを大事にする」幼稚園のため、「園庭と保育室が一体感」はより大事な要素です。

やっぱり、
今まで通り、園庭をぐるっと保育室が囲むのが良いかな・・・

具体的な設計案・模型を前に、園長先生も色々とお考えになります。

道空間:廻廊と走り回る子どもたち

幼稚園の運動会(新建築紀行)

もともとの園舎では、園庭を取り囲んで廻廊のような空間があります。

光を通す屋根がかかっていて、ここから園児たちは保育室と園庭を出入りします。

走り回るのが、大好きな子どもたち。

運動会ではない日常でも、きっとこの縁側のような回廊で走り回っていることでしょう。

まさに「道空間」であり、建築内部でシークエンスが変わってゆきます。

幼稚園の運動会(新建築紀行)

新しい校舎も
縁側の「道空間」をつくろう。

その道空間を
自然のやわかな光で満たしたい。

このように考えました。

幼稚園の運動会(新建築紀行)

都内としては、広大な園庭があり、大きな樹木がある恵まれた空間です。

大きな
木のある園庭っていいな。

こう思って、

現在の「広い園庭を囲む保育室」の
プランは、そのまま活かしたい。

と考えました。

さらに、

回廊のデザインを
非常に大事にしたい。

と考えました。

園庭のトラックと廻廊:園の思い

幼稚園の運動会(新建築紀行)

このようにあれこれ考えていると、園長先生から声をかけて頂きました。

トラックが
あるでしょう。

このトラックのサイズは、
現在と全く同じにしてもらいたい。

運動会などの時に、
このトラックの存在が、とっても大事なんだ。

運動会でのトラックのサイズは、「全く変更なし」のご要望です。

承知しました。
トラックのレイアウトも検討いたします。

盛り上がっている運動会を僕も楽しませて頂きながら、設計案を色々と考えます。

そして、

やはり保育室は
全て1階にして、園庭と結びつけよう。

と考えました。

そして、運動会を後にして、設計案を練ります。

「2階にも保育室」というプランはやめて、全ての保育室を1階に並べ、園庭を囲みます。

現在と似たプラン・配置となり、それがこの幼稚園にとってベストであると考えました。

保育室と園庭の間の
回廊をデザインテーマにしよう。

そして、回廊の道空間と庇のデザインを検討します。

配置・ボリュームの決定と設計の方針

田無富士見幼稚園:イメージ(新建築紀行)

運動会訪問後、初めての打ち合わせとなりました。

先日は、
私たちの運動会に来てくれて、有難う!

有難うございます。
大変参考になりました。

やっぱり、実際に
みてみると良いでしょう。

「百聞は一見にしかず」
だね!

そして、園長先生に前回から発展させた全体計画をご説明しました。

「運動会訪問」の際に、「様々考えたこと」を設計に盛り込みました。

現在の保育室のプラン・
レイアウトを踏襲して、活かします。

それが
いいね!

園長先生に同意いただきました。

田無富士見幼稚園:模型(新建築紀行)

そして、園庭をグルット囲む回廊を積極的な「道空間」とする提案をしました。

現在もある、園庭と保育室を結ぶ
回廊のような空間をつくります。

自然光が降り注ぎ、
園舎の特徴となる庇にしたいと思います。

田無富士見幼稚園:模型(新建築紀行)

子どもたちが
楽しく走り回るイメージです。

うん。
それはとてもよい!

園の全体計画が決定し、これから詳細を詰めてゆきます。

新建築紀行

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