幼稚園・保育園の新築設計・計画のポイント〜運動会訪問と設計コンセプト・園庭と園舎・現地調査〜|富士見幼稚園2・東京の建築設計

前回は「幼稚園・保育園の新築設計・計画のポイント 1〜現地調査・対話から提案へ・のびのび過ごせる空間・園庭と保育室・ボリュームスタディ 〜」の話でした。

目次

園庭と園舎の配置計画:2案を提案

幼稚園の運動会(新建築紀行)

園長先生に幼稚園の基本計画の提案をしました。

幼稚園などの施設等、大きな建築の場合は、デザインとともにボリュームが非常に大事です。

計画地に「どの様に建築を配置するか」を検討することを、ボリュームスタディと呼びます。

商業施設などよりも、外部空間(園庭)と建築の関係が重要な幼稚園。

「計画地にどの様に園舎を配置するか」は、建築のデザイン性と同程度の重要性を持ちます。

A案は、
「保育室を1階のみに展開する案」です。

B案は、
「2階にも保育室がある案」です。

建主である園長先生に、基本的な配置計画を2案ご説明しました。

たくさんのパターンが考えられる配置計画を、社内で簡単な模型を使って検討しました。

その上で「最も良い2案」を、最初にご提案します。

複数の案をご提案するのは、園舎など「建築を使う」側の方々のご意見を設計に盛り込むためです。

「2案ではなく3案程度」ご提案することもありますが、私たちは「基本的に2案」が多いです。

案が多いと、迷うこともあり、デザインの方向性が固まりにくくなる傾向があります。

保育室の配置が大きく異なる、A案、B案をご提案したら、

うん。
まあ、それぞれ良いところがあるね。

・・・・・

考え込んでいた園長先生。

そして、

うちの幼稚園は、
運動会などのイベントを非常に重視している!

我が幼稚園の運動会を
ぜひ見て欲しい!

とご要望を受け、久しぶりに運動会に行きました。

運動会を重視している
幼稚園の実際の状況を知る、貴重な機会です。

幼稚園:現地調査(新建築紀行)

幼稚園の園舎を訪問した時、小さな子どもを見て、

かわいいな。

と思いつつも、少し緊張していました。

運動会は小学校・中学校・高校でありましたが、もう「遠い思い出」になっています。

幼稚園の運動会って、
どんな雰囲気だろう・・・

遠い記憶を手繰り寄せながら、楽しい気持ちになって、当日を迎えました。

幼稚園の運動会訪問

幼稚園の運動会(新建築紀行)

すごい熱気だ・・・

広い園庭に、たくさんの親と子がいて、大変な賑わいです。

あの広い園庭も、
大勢の親や子でいっぱいになるんだ。

まさにお祭り騒ぎで、みんな楽しそうです。

幼稚園の運動会(新建築紀行)

やっ!
よく来たね。

園長先生がいらっしゃいました。

こんにちは!

すごい
熱気ですね。

うん。
うちは、運動会などの行事を非常に大事にしている。

よく見ていって
欲しい!

承知しました。

雲一つない快晴の中、大勢の園児や親、そして幼稚園の先生方がいらっしゃいます。

運動会訪問から分かること:アイデアを考える

幼稚園の運動会(新建築紀行)

既存の園舎は、園長先生がおっしゃる通り、「園庭をぐるっと囲む」プランです。

「園庭を広く使えるように」と、園舎の建築面積を小さくした案も考えました。

園庭が広い分には、
子どもも楽しいし・・・

運動会などの行事の際は、
大勢入れて良さそうだ・・・

色々イメージします。

一方で、園舎の建築面積を小さくすると、「園庭と保育室の関係」が薄くなります。

幼稚園の運動会(新建築紀行)

園庭の広さを優先するか、
園庭と保育室の関係を優先するか・・・

運動会を見ながら、色々と考えます。

既存の園舎は、園庭を囲む園舎と園庭の間に、庇のある渡り廊下のような空間があります。

ここで、通常時園児たちは、園庭と園舎を行き来するのでしょう。

そして、その渡り廊下は、保護者にとっても「少し座ったりするのにちょうど良い」空間です。

園舎の配置と同時に、
こういう空間も大事だな。

設計に活かせるように、
よく考えよう。

現地調査・生活スタイルと設計コンセプト

こういうことを考えながら、盛り上がっている園の運動会を一緒に楽しみました。

個人邸の設計の際には、建主の要望とともに、建主の人柄・生活スタイルが大事です。

そして、幼稚園などの施設の設計の際には、幼稚園で過ごす園児・先生方の「過ごし方」が大事です。

その意味では、現地調査を念入りに行い、設計コンセプトを考える姿勢が大事だと考えます。

「園児・先生方がどの様に幼稚園で過ごしているか」を調べさせて頂き、設計に反映する現地調査。

今回の「運動会訪問」は、現地調査としては「少しイレギュラー」でした。

運動会などのイベントを大変重視している幼稚園だからこそ、「運動会訪問」は大事でした。

そして、この「運動会訪問」を、設計の初期のタイミングで行えたことが良かったと思います。

新建築紀行

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