前回は「デザインの思考を深めるコンセプト模型〜磯崎新の正方形グリッド・気品ある自然の光・空間に秩序を与える正方形断面のグリッド・Forests of Grids〜|東京の建築設計」の話でした。
空間の「最も大事な要素を抽出した」コンセプトドローイング
今回は、コンセプト模型と似た「コンセプトドローイング」の話です。
コンセプト模型と同様に、コンセプトドローイングはとても大事だと思います。
コンセプトドローイングは
建築作品のコンセプトを非常に明確に示します。
CGは実際の空間の見え方を表現する「リアルなパース」が最も多いです。
あるいは空間構成を示すリアルなアクソノメトリック、アイソノメトリックなどもあります。
コンセプトドローイングは、こららのCGやドローイングとは「かなり変わった存在」です。
空間の「最も大事な要素を抽出した」のが、コンセプトドローイングです。
コンセプト一目で表現:リアルなパースとの比較
「コンセプトを示すために、出来るだけ削ぎ落とした」コンセプトドローイング。
この作品では、「木材の柱・梁による均等グリッドを曲面ガラスで包み込む」ことでした。
周囲の景観を映し出すガラスの存在も大事ですが、
最も大事なコンセプトは
均等グリッドの構成です。
内部空間は、ガラスよりも木のグリッドの方が支配的であり、空間に秩序をもたらします。
外周側は吹き抜けになっているので、
2層分、3層分の長さがある柱があります。
このイメージは、吉祥寺の集合住宅”Forests of Grids”で実現しました。
“Forests of Grids”のアイデアに関する話を、上記リンクでご紹介しています。
木のグリッドによる空間が、曲面ガラスによって包まれる建築です。
この空間構成されることを示したイメージが、抽象的なコンセプトドローイングです。
本来は、重要な要素であるスラブ・床を消していますが、それはコンセプトを明確にするためです。
グリッドを
際立たせるためです。
様々な要素を削ぎ落としたコンセプトドーイングとは「大きく違う」のがわかります。
このように「一目見てコンセプトがわかる」コンセプトドローイング。
作品を語る上で、
大変重要です。
コンセプトドローイングは、実際の建築作品以上のパワーを持つこともあります。
次回は上記リンクです。