前回は「コンセプト模型〜コンセプトを明快な形に・リアルな模型とCG・顕在化したコンセプトから「見えてくる」こと〜」の話でした。
デザインの思考を深めるコンセプト模型
建築を考える際、最も大事な模型。
出来るだけ大きく、リアルな模型が望ましいですが、コンセプト模型も大事です。
コンセプト模型は「大事なコンセプトのみを抽出している」からこそ、その意味があります。
コンセプト模型は、要素を削ぎ落としているので「作成する時間が非常に短い」傾向があります。
作成時間は短いですが、「何を表現するか」を考える時間はある程度かかります。
このプロセスで、
デザインの思考が深まります。
かつて、様々な建築家の好きな作品の模型を作って、研究していました。
Le Corbusierや安藤忠雄の作品です。
彼らの建築の模型をたくさん作りましたが、
ここは、
こうなっていたんだ・・・
色々な発見があって、とても大きな勉強になります。
「実際に訪問することが大事」と言われる建築の学び。
確かに「訪問してデザインを実際に見たり、その空間に身を置く」ことが最重要です。
一方で、「模型をつくることから分かる」ことも多数あります。
磯崎新の正方形グリッド:気品ある自然の光
具体的な空間構成・プロポーション・開口に至るまで、
「なるほど」と感じることが、
多々あります。
かつて磯崎新設計の「豊の国情報ライブラリー」を訪れた際は、自然の光に大きな衝撃を受けました。
そして、均等グリッドのコンクリート打ち放しの柱・梁が「正方形断面」に感銘を受けました。
この正方形断面に関しては構造的には非合理的で、少し「無理をしている」構造です。
賛否両論ですが、
僕は好きです。
かつて、
正方形。
我が敵。
このように「正方形が敵」であるという、センセーショナルな表現をした磯崎新。
若い頃から正方形に固執しています。
この「豊の国情報ライブラリー」のグリッド。
彼の「正方形への妄執」が、一つの到達点に達したように感じました。
この空間は、ある種の
気品があります。
学生時代に訪れた「豊の国情報ライブラリー」の光は、とても衝撃的でした。
空間に秩序を与える正方形断面のグリッド:Forests of Grids
均等グリッドは安藤にも多く見られますが、この「崇高なグリッド」に衝撃を受けた僕。
「いつか正方形断面の均等グリッドによるデザインをしたい」と考えました。
そして、いくつか「正方形グリッド」をテーマにした作品を生み出しました。
その一つが、7年前に完成したForests of Gridsです。
この建築は、上のような「コンセプト」が根幹にある建築です。
整然としたグリッドが
「最も大事なConcept」でした。
コンクリート打ち放しの正方形断面のグリッドが、この建築を支配しています。
そして、正方形断面のグリッドに生まれる光と影が印象的になるイメージで設計しました。
「住まい手が楽しめる」中庭を貫くグリッドのコンクリートの打ち放しの柱は、空間に秩序を与えます。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。