デザインの思考を深めるコンセプト模型〜磯崎新の正方形グリッド・気品ある自然の光・空間に秩序を与える正方形断面のグリッド・Forests of Grids〜|東京の建築設計

前回は「コンセプト模型〜コンセプトを明快な形に・リアルな模型とCG・顕在化したコンセプトから「見えてくる」こと〜」の話でした。

目次

デザインの思考を深めるコンセプト模型

新建築紀行
豊島の家:模型(新建築紀行)

建築を考える際、最も大事な模型。

出来るだけ大きく、リアルな模型が望ましいですが、コンセプト模型も大事です。

新建築紀行
豊島の家:コンセプト模型(新建築紀行)

コンセプト模型は「大事なコンセプトのみを抽出している」からこそ、その意味があります。

コンセプト模型は、要素を削ぎ落としているので「作成する時間が非常に短い」傾向があります。

作成時間は短いですが、「何を表現するか」を考える時間はある程度かかります。

Yoshitaka Uchino

このプロセスで、
デザインの思考が深まります。

小篠邸 模型(新建築紀行)

かつて、様々な建築家の好きな作品の模型を作って、研究していました。

Le Corbusierや安藤忠雄の作品です。

彼らの建築の模型をたくさん作りましたが、

Yoshitaka Uchino

ここは、
こうなっていたんだ・・・

色々な発見があって、とても大きな勉強になります。

「実際に訪問することが大事」と言われる建築の学び。

確かに「訪問してデザインを実際に見たり、その空間に身を置く」ことが最重要です。

一方で、「模型をつくることから分かる」ことも多数あります。

磯崎新の正方形グリッド:気品ある自然の光

建築家 磯崎新(Wikipedia)

具体的な空間構成・プロポーション・開口に至るまで、

Yoshitaka Uchino

「なるほど」と感じることが、
多々あります。

かつて磯崎新設計の「豊の国情報ライブラリー」を訪れた際は、自然の光に大きな衝撃を受けました。

そして、均等グリッドのコンクリート打ち放しの柱・梁が「正方形断面」に感銘を受けました。

この正方形断面に関しては構造的には非合理的で、少し「無理をしている」構造です。

Yoshitaka Uchino

賛否両論ですが、
僕は好きです。

かつて、

正方形。
我が敵。

このように「正方形が敵」であるという、センセーショナルな表現をした磯崎新。

豊の国情報ライブラリー Axonometric(Copyright:磯崎新アトリエ)

若い頃から正方形に固執しています。

この「豊の国情報ライブラリー」のグリッド。

彼の「正方形への妄執」が、一つの到達点に達したように感じました。

Yoshitaka Uchino

この空間は、ある種の
気品があります。

新建築紀行
豊の国情報ライブラリー(新建築紀行)

学生時代に訪れた「豊の国情報ライブラリー」の光は、とても衝撃的でした。

空間に秩序を与える正方形断面のグリッド:Forests of Grids

吉祥寺の集合住宅:コンセプト模型(新建築紀行)

均等グリッドは安藤にも多く見られますが、この「崇高なグリッド」に衝撃を受けた僕。

「いつか正方形断面の均等グリッドによるデザインをしたい」と考えました。

そして、いくつか「正方形グリッド」をテーマにした作品を生み出しました。

その一つが、7年前に完成したForests of Gridsです。

この建築は、上のような「コンセプト」が根幹にある建築です。

Yoshitaka Uchino

整然としたグリッドが
「最も大事なConcept」でした。

新建築紀行
吉祥寺の集合住宅:中庭(新建築紀行)

コンクリート打ち放しの正方形断面のグリッドが、この建築を支配しています。

新建築紀行
吉祥寺の集合住宅:中庭を貫くコンクリート打ち放しのの柱(新建築紀行)

そして、正方形断面のグリッドに生まれる光と影が印象的になるイメージで設計しました。

新建築紀行
吉祥寺の集合住宅:中庭を貫くコンクリート打ち放しの柱(新建築紀行)

「住まい手が楽しめる」中庭を貫くグリッドのコンクリートの打ち放しの柱は、空間に秩序を与えます。

次回は上記リンクです。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

新建築紀行

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