前回は「「テラスと水路でつながる」家たち〜山が多い地域の地区計画・「つながる水路」が生み出すコミュニティ・室内から眺める空と山〜」の話でした。
周辺環境と一体化する科学実験施設:大地の皮膜の屋根

こんにちは。
今回は、科学実験施設の設計案に関するご紹介です。

緑豊かな計画地において
サイエンティストたちが、研究開発する施設です。
生命との関りを想起させ、研究者の探求心を駆り立てるような意匠を考えました。
大地から隆起した一枚の皮膜に一連の操作を与え、建築へと変容してゆくイメージです。





大地がそのまま
屋根になっています。
大地と緩やかに接続する屋根をつくり、周辺の環境との一体化を考えました。
自然界から派生したような、躍動感のある伸びやかな曲線を描いた外形です。
自然に包まれた開放的空間


地面からそびえたつ木々の様に柱を配置し、曲面の屋根を支えます。



内部の天井も
隆起する屋根同様の曲面になっています。
軽やかに浮遊する有機的な屋根を、コンクリート打ち放しの壁が強く支え、構成を際立たせます。
屋根面を構成する「大地そのままの緑地」と、コンクリートという異質で無機質な素材が衝突します。
それらが、空間の対比を表現すると共に、相対する物質を融合させた建築を提唱します。


緑化や自然エネルギーの利用など環境負荷も考慮しました。
未知なる生命体の発見や、革新的な発明を促す施設となることでしょう。
「自然に包まれた開放的空間」では、普通の研究施設では得ることが出来ないインスピレーションを生み出します。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
私たちがデザインの根幹としている「5つのフィロソフィー」のうち、



「揺らめく自然」と
「多様なる共生」を強く意識したデザインです。


大地そのものと一体化した有機的な科学実験施設では、サイエンティストたちが開放的な気分となるでしょう。
そして、新たな発見や発明が、地球環境や人々の生活に大きく寄与することを期待するデザインです。
建築を通し生まれた技術が、やがて環境へと還元することを願っています。