前回は「大事な建築のメンテナンス〜気になる工事金額と現地調査の手間・建築と自動車のメンテナンス・車検が「ある」自動車と「ない」建築〜」の話でした。
木造戸建住宅の経年劣化:雨水侵入と木材の腐食の可能性
自動車と同様に建築・建物もメンテナンスが大事です。
メンテナンスが大事なのは
分かっているけど・・・
自動車と異なり、建物のメンテナンスはなかなか気が乗らないことかも知れません。
比較的分かりやすく、基本的に「ディーラーに任せるしかない」自動車のメンテナンス。
法定車検も大事ですが、メンテナンスを怠ると「生命の危険に結びつく」可能性があるのが自動車です。
対して、建築の場合はメンテナンスを怠っても「生命の危険に結びつく」ことは少ないです。
メンテナンスを怠ることで、設備系統の故障によって「生活に支障が出る」ことはあります。
建築・建物の場合は構造の頑強さはメンテナンスの程度とは、あまり関係ないことが多いです。
木造の建築・建物などで、メンテナンスの際に「雨水の侵入などが発覚」すれば別です。
木造の場合、「建物の内部に水が入る」ことは木材の腐食につながる可能性が大きいです。
詳細設計(ディテール)や施工精度にもよりますが、経年劣化による「雨水の侵入」は要注意です。
概ね築10年以上の木造住宅は「漏水の可能性がある」ので、メンテナンスとチェックをお勧めします。
適度なメンテナンスが大事な戸建住宅:大事な屋根と外壁のチェック
上の写真は、大規模リノベーションの設計・監理をした練馬の家の土台の一部です。
上記リンクで、リノベーション工事の初期の頃の話をご紹介しています。
木造でもリノベーションでも
設計の際には、最初に念入りな現地調査を行います。
初期の現地調査で、大体建物の状況が把握出来ます。
木造・鉄筋コンクリート・鉄骨造、いずれの構造でも「構造の内部」は分からないことが多いです。
「内部が分からない」ですが、「外部の状況」から内部の状況は概ね推測が可能です。
練馬の家のリノベーションの際には、建物の状況から、「ある程度の構造の劣化」は予想されました。
実際に「どの程度劣化しているか」は
木造軸組を見て、初めて判明します。
「予想される」ものの、「どのような状況でどういう工事が必要か」が不明なので、コストも不明です。
建主には、「工事中に構造のメンテナンス・補強で
コストがかかる」ことを説明しておきました。
実際に、大きな腐食が発覚する際は、まずは、現場から写真を送ってもらい、現地へゆきます。
流石に、ここまで大きな腐食だと、
放っておくわけにはいかないと思います。
土台の改修なので、
〜くらい費用はかかりますが・・・
確かに、今回の改修で
しっかりメンテナンスする方が良いですね。
そして、建主にコストと建物の耐久性向上・構造的安全性向上を説明して、
確かにコストがかかっても、
今回手を入れた方が良さそうですね・・・
コストは承知しましたので、
土台を一部交換してください。
建主からOKを頂き、土台を一部交換する工事を進めました。
今回のように、大規模リノベーションの際のメンテナンス・改修工事は少し話が異なります。
大規模リノベーションは
予定していないけど・・・
どうやって、このような
木造構造が劣化しているのを改修出来るの?
まずは、建物の設計者または施工者にメンテナンスに関して、相談すると良いでしょう。
外壁の作り方にもよりますが、外壁の塗装等も7〜10年に一度メンテナンスするのが望ましいです。
外壁塗装等は足場を組む必要があり、かなりのコストが掛かるため、「15年に一度」程度が実情です。
屋根や外壁は劣化すると「直ちに雨漏り、漏水と木造軸組の劣化」に直結します。
それらが発生した場合は、「早い段階で手を打つ」ことが非常に重要です。
もう築10年は経過しているから、
不安だから、どこに相談しよう・・・
まずは建物の設計者・施工者に、気楽に相談してみることをお勧めします。
そして、一度、屋根と外壁のメンテナンスを考えて、具体的に現地調査と見積を依頼すると良いでしょう。
あまり高い金額だと
困るかも・・・
コストは大事な要素なので、費用対効果を考えて具体的に考えると良いでしょう。
最も良くないのは「放置する」ことです。
いわば「建築・建物も生き物」とお考えになって、適度にメンテナンスする姿勢が望ましいでしょう。