教会の新築計画・設計コンセプト〜人々を惹きつける強い光を持つ空間・要素を削ぎ落とした立面図・コンセプトドローイング・際立つコンクリート打ち放しの円弧壁〜|東京の建築設計

前回は「教会の新築計画・設計プロセス〜教会の役割とコミュニティの核・人を引き付ける大いなる力を持つ教会・空間を優しく包み込み、人々の交歓を刺激する空間〜」の話でした。

目次

人々を惹きつける強い光を持つ空間

S市の教会:コンセプトドローイング(新建築紀行)

「祈りの場」としての空間だけではなく、コミュニティの核としての役割も期待されている教会。

この教会の空間を考えるときに、コンクリート打ち放しによる「人々を惹きつける強い光を持つ空間」を考えました。

Yoshitaka Uchino

人々の心に訴えかける
ような光のイメージです。

S市の教会:エントランス(新建築紀行)

円弧の壁を挿入して、エントランスから教会の中心部分に至る経路をつくりました。

そして、そのエントランスホールの空間には、トップライトが円弧の壁をスッと照らし出します。

Yoshitaka Uchino

祈りの場へ至る道空間で、
心を整理するイメージです。

二等辺三角形のボリュームに、一枚の円弧壁を挿入するシンプルな操作で、空間に変化を与えました。

冒頭のドローイング図は、この建築の要素を研ぎ澄ました空間を示しています。

二等辺三角形を構成する三枚の壁面に、円弧壁がグッと挿入されて全体の空間が生まれています。

要素を削ぎ落とした立面図

S市の教会:アクソノメトリック(新建築紀行)

アクソノメトリック図で見ると、この「挿入した円弧壁」がよく分かります。

この円弧壁によって、エントランス空間が生まれると同時に、祈りの場の空間を大きく変化させています。

S市の教会(新建築紀行)

円弧によって「囲まれる」のではなく、円弧壁によって空間が大きく歪むような印象を持つ祈りの空間。

S市の教会(新建築紀行)

円弧の壁にはトップライトから強い光が照らし出して、刻々変化する光の美を演出します。

正面のスリットからは、細長い強い光が照らし出され、空間に強い指向性を与えます。

そして、円弧壁を照らし出す自然の光は、この空間に「ふくよかさ」を与えるでしょう。

S市の教会:立面図(新建築紀行)

要素を削ぎ落とした立面図もまた、この円弧壁の存在が際立っているデザインを明確に表現しています。

二等辺三角形のメインボリュームを構成する三枚の壁に穿たれたスリットの開口。

そして、円弧壁に沿った「円弧状のトップライト」が非常に印象的な空間を生み出します。

コンセプトドローイング:際立つコンクリート打ち放しの円弧壁

S市の教会:コンセプト(新建築紀行)

今回は、二等辺三角形のメインボリュームを構成する三枚の壁をガラスで表現しました。

実際は、円弧壁と同じコンクリート打ち放しの壁面の質感ですが、「壁の意味の違い」を示したコンセプトです。

S市の教会:コンセプト(新建築紀行)

このガラスの空間のようなメインボリュームを、強い円弧の打ち放しコンクリートの壁面が貫入します。

メインボリュームの壁面をガラスで表現したため、円弧壁の存在が非常に際立ちます。

S市の教会:コンセプト(新建築紀行)

中心の祈りの場を見たコンセプトです。

今回は、あえて屋根を表現せずに壁面だけを取り出しました。

Yoshitaka Uchino

三枚のメインボリュームの壁面と
円弧壁によって、空間を表現しました。

実際は鉄筋コンクリート打ち放しの壁面を「ガラスの壁面」で表現すると、透明感を感じます。

設計プロセスにおいて、このドローイングを作成して考えました。

そして、

メインボリュームに
透明感を生み出そう・・・

このように考えて、開口のスリットの大きさを検討して、決定しました。

人々が「祈りを捧げる空間」であり、「人々が交歓し、人と街が成長してゆく」建築となることを考えました。

設計中のこの教会は、完成に向けて進行中です。

次回は下記リンクです。

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