前回は「幼稚園・保育園の新築設計・計画のポイント 2〜運動会訪問と設計コンセプト・園庭と園舎・現地調査〜」の話でした。
ボリュームと配置計画
設計監理のご契約を頂き、具体的な設計を早速進めてゆきます。
戸建住宅なども同様ですが、施設などの比較的大規模な建築の場合、ボリュームの配置が大事です。
施設の運営側の希望する人数が入ることができるか、あるいは建築基準法などの法規に適合するか、です。
そこで、まずは幼稚園のボリューム・配置の提案をしました。
A案は、
「保育室を1階のみに展開する案」です。
B案は、
「2階にも保育室がある案」です。
まだまだ「設計の初期段階」だったこの時、園長先生から、
うちが非常に大事にしている
運動会を実際に見てもらいたい!
とのご要望を受けて、20年以上ぶりに幼稚園の運動会にやってきました。
現在の園庭を保育室で
グルッと囲むプランも良いですね。
そうなんだ。
園庭と保育室が一体感がある。
特に「イベントを大事にする」幼稚園のため、「園庭と保育室が一体感」はより大事な要素です。
やっぱり、
今まで通り、園庭をぐるっと保育室が囲むのが良いかな・・・
具体的な設計案・模型を前に、園長先生も色々とお考えになります。
道空間:廻廊と走り回る子どもたち
もともとの園舎では、園庭を取り囲んで廻廊のような空間があります。
光を通す屋根がかかっていて、ここから園児たちは保育室と園庭を出入りします。
走り回るのが、大好きな子どもたち。
運動会ではない日常でも、きっとこの縁側のような回廊で走り回っていることでしょう。
まさに「道空間」であり、建築内部でシークエンスが変わってゆきます。
新しい校舎も
縁側の「道空間」をつくろう。
その道空間を
自然のやわかな光で満たしたい。
このように考えました。
都内としては、広大な園庭があり、大きな樹木がある恵まれた空間です。
大きな
木のある園庭っていいな。
こう思って、
現在の「広い園庭を囲む保育室」の
プランは、そのまま活かしたい。
と考えました。
さらに、
回廊のデザインを
非常に大事にしたい。
と考えました。
園庭のトラックと廻廊:園の思い
このようにあれこれ考えていると、園長先生から声をかけて頂きました。
トラックが
あるでしょう。
このトラックのサイズは、
現在と全く同じにしてもらいたい。
運動会などの時に、
このトラックの存在が、とっても大事なんだ。
運動会でのトラックのサイズは、「全く変更なし」のご要望です。
承知しました。
トラックのレイアウトも検討いたします。
盛り上がっている運動会を僕も楽しませて頂きながら、設計案を色々と考えます。
そして、
やはり保育室は
全て1階にして、園庭と結びつけよう。
と考えました。
そして、運動会を後にして、設計案を練ります。
「2階にも保育室」というプランはやめて、全ての保育室を1階に並べ、園庭を囲みます。
現在と似たプラン・配置となり、それがこの幼稚園にとってベストであると考えました。
保育室と園庭の間の
回廊をデザインテーマにしよう。
そして、回廊の道空間と庇のデザインを検討します。
配置・ボリュームの決定と設計の方針
運動会訪問後、初めての打ち合わせとなりました。
先日は、
私たちの運動会に来てくれて、有難う!
有難うございます。
大変参考になりました。
やっぱり、実際に
みてみると良いでしょう。
「百聞は一見にしかず」
だね!
そして、園長先生に前回から発展させた全体計画をご説明しました。
「運動会訪問」の際に、「様々考えたこと」を設計に盛り込みました。
現在の保育室のプラン・
レイアウトを踏襲して、活かします。
それが
いいね!
園長先生に同意いただきました。
そして、園庭をグルット囲む回廊を積極的な「道空間」とする提案をしました。
現在もある、園庭と保育室を結ぶ
回廊のような空間をつくります。
自然光が降り注ぎ、
園舎の特徴となる庇にしたいと思います。
子どもたちが
楽しく走り回るイメージです。
うん。
それはとてもよい!
園の全体計画が決定し、これから詳細を詰めてゆきます。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記リンクからご覧ください。