前回は「鉄筋コンクリート造マンションのコンクリート試験練り〜コンクリート打ち放しの美しさ・大事な打設するコンクリートの品質・現場打ちコンクリートの事前チェック〜」の話でした。
密実でしっかりしたコンクリート
鉄筋コンクリート造地下1階・地上4階建ての蚕糸の森アパートメント。
大抵のマンション・集合住宅では「居住スペースは地上階のみ」です。
今回は地下にも居住スペースがあるので、打設するコンクリートが高い性質を持つことが大事です。
しっかりした建築を建てるためには、密実でしっかりしたコンクリートを打設することポイントです。
「固い・強い」イメージが強い鉄筋コンクリート。
素晴らしい公園の風景を建築の内部に取り入れるために、共用階段は跳ね出しにしました。
階段からキャンティしている階段をコンクリート打ち放しでつくります。
頑丈な鉄筋コンクリートですが、建物は二十年、三十年〜と年季を経るに従って多少は劣化します。
この「劣化を最小限に抑える」ためにも、きちんとしたコンクリートを打つことが最も大事です。
前回、現場打ちコンクリートと全く同様の作り方で、「試験用コンクリート」を作る話を紹介しました。
小さな石(細骨材)・比較的大きな石(粗骨材)・セメント・水を混ぜて、コンクリートを作ります。
機械でこれらをガリガリっと混ぜるとコンクリートが完成します。
「細骨材・粗骨材・セメント・水を混ぜる比」によって、コンクリートの品質は千差万別となります。
見かけは「ほとんど同じ」かも知れませんが、内部は全く異なる可能性があるコンクリート。
「水セメント比」などの
数値を押さえることは大事です。
柔らかいコンクリートと固いコンクリート:コーンの試験
今回は、工場で作成したコンクリートの品質チェックです。
コンクリートが練り上がりました。
いま出来たばかりのコンクリートを、コーンという容器に詰めます。
「コンクリートがどの程度柔らかいのか」を
測定・確認する作業です。
コンクリートはある程度柔らかい方が、打設が上手く行きます。
コンクリート型枠の中にコンクリートを流し込みますが、中には鉄筋が入っています。
構造的に重要な部分や構造的に少し無理をしている場所などは、非常に鉄筋がたくさんあります。
鉄筋がたくさんある部分は、骨材という石もあるコンクリートがうまく回らない可能性があります。
今回は、階段の段板が化粧型枠コンクリート打ち放し仕上げなので、特にこだわりました。
コンクリートの品質には、
特にこだわりたいと思います。
建築家の安藤忠雄は若い頃からコンクリートに関して研究し、あの「安藤コンクリート」に至ったのです。
うまくコンクリートが回らない場合は、ジャンカなどコンクリートが欠損した状態で固まる可能性があります。
多少のジャンカであれば、構造的には大きな問題はありません。
コンクリートは美しく・頑丈に
打ちたいものです。
一方で、コンクリートが柔らかすぎると、風化して劣化しやすいコンクリートとなってしまいます。
コンクリートは柔らかすぎても、硬すぎても
望ましくないのです。
大事な現場打ちコンクリート強度試験:スランプ値
そこで、コンクリートの硬さを判断するために、「スランプ値」という基準があります。
先程のコーンという特殊な容器に入れた状態で、ゆっくりと持ち上げます。
容器の中に詰められていたコンクリートが、フニャッと沈みました。
ここで「どの程度下がったか」が問題となります。
「下がった高さ=スランプ値」を測定した結果、OKです。
最後に、コンクリートの強度を測定します。
これはコンクリートをある期間放置し、固まった状況で破壊試験を行います。
今、出来たばかりのコンクリートを容器に詰めます。
詰めたコンクリートは、乾燥しすぎないように、水の中に入れて、しばらくの期間を待ちます。
この後しばらく期間を置いた後、工場で破壊試験を行った上で報告書が届きます。
その報告書の数字が規定を上回っているかを構造設計者と共に確認します。
数値
OKですね。
実際のコンクリート打設となります。
打設前の丁寧なコンクリート作成の姿勢が
大事です。
次回は上記リンクです。
竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。