前回は「設計とインスピレーション〜旅の経験・圧倒的存在感の「十字架の光」・光の教会〜」の話でした。
「正方形に挑み続けた」磯崎新の光
今回も続いて、「建築の光」の話です。
磯崎新の「豊の国情報ライブラリー」を取り上げます。
磯崎というと、「つくばセンタービル」や初期の大分県立図書館などが挙げられることが多いのです。
筆者は、彼の建築ではこの作品が一番好きです。
この建築は上記のアクソメの通り、「均等グリッド」が一つのテーマです。
「均等グリッド」というと、誰しも安藤忠雄を思い浮かべます。
磯崎もいくつかの作品でグリッドのデザインをしています。
個人的に「均等グリッド」は好きです。
コンセプトが明快になり、整然とした静謐な雰囲気になります。
ある意味では、均等グリッドは「日本建築的なデザイン」とも言えます。
正方形・・・
我が敵・・・
「正方形は我が敵だ!」と磯崎らしい論調で、正方形への執着を表現しました。
優美で典雅な光の空間:豊の国情報ライブラリー
外観は、均等グリッドの感じがあまりなく、そっけない感じの箱です。
エントランスとメインの図書館のボリュームを明確に分けています。
そして、外部空間と建築の関係付けが明快です。
エントランスでは、巨大なコンクリートの塊が浮遊しています。
そして、箱型のボリュームとコンクリートの塊の間から、自然光が差し込んできます。
コンクリート打ち放しの柱・梁の均等グリッドが支配する空間。
静謐でピリッとした秩序を感じさせますが、何よりも光の扱いが印象的です。
円形のトップライトから入ってくる自然光が、グリッドの梁で反射します。
そして、その反射光がさらにドーム状の天井で反射して、柔らかな光となります。
磯崎の建築は、一般的にはどちらかというとBrutalでIconicな感じです。
この建築では、光の扱いに関しては優しい・上品な感じで、優美で典雅な雰囲気すら感じさせます。
この「優美で典雅な光の空間」が、筆者は大いなる感銘を受けました。
次回は上記リンクです。