前回は「インスピレーション 2-豊の国情報ライブラリー1」の話でした。

このコンクリート打ち放しの柱・梁の均等グリッドです。
大きな特徴は「柱・梁の断面が正方形」であることです。
梁は、構造的には長方形の方が、断面に自モーメントが大きくなり、合理的です。
この作品では、「均等グリッドの整然とした柱・梁」を表現するために、柱・梁の断面が正方形で設計されています。
柱・梁の接合部がきれいに納まり、強烈な秩序を感じさせます。
トップライトからの光が、梁で反射して、ドーム状の天井でまた跳ね返ります。
そして、光が天井を優しく、柔らかく照らしています。

「反射する光」で有名なのは、Louis KahnのKimbell Museumです。
Kimbellの光は、多くの建築家の方が感動して、様々な記述をしていますが、反射させる装置をわざわざ作っています。
この「豊の国情報ライブラリー」では、光を反射させるのが「構造の梁」であることに大きな意味があります。

この建築に行った際、打ち砕かれた光がまるで粒子のように空間を舞っていました。
物理で有名ですが、光は「波動であり、粒子である」のです。
打ち砕かれた光が空間を充し、不思議な浮遊感を感じました。
トップライトによって、強い光を内部空間に導くと、感動的な光をもたらします。

自然光を反射させて、打ち砕くことによる「嫋やかで、揺らめくような光」を感じることができます。
打ち砕かれた光は粒子となって、空間全体を柔らかく、そして深遠に覆い尽くすのです。
ぜひ訪れてみてください。
この建築の衝撃は大きく、「打ち砕かれた光を生み出したい」と考えました。
そして、最初の作品の「茨城の家」で試みました。