前回は「アイデア:道空間~視線の交錯・動的空間・本棚の柱~」の話でした。
階段と道空間
今回は、吉祥寺の集合住宅における道空間の話です。
吉祥寺の集合住宅では、階段の配置が一つのテーマでした。
法規制・経済的合理性も確立しつつ、「この建築だけ」の道空間を作ろうと考えました。
広場と道の空間を、
集合住宅の内部につくることを考えました。
建築基準法の制約と道空間
6階建ての吉祥寺の集合住宅は、建築基準法から、避難階段は「屋外避難階段」とする必要があります。
この避難階段を屋内にすることも可能です。
その場合は、鉄製の扉などで区画する「特別避難階段」にする必要があります。
特別避難階段は「附室が必要」なことなど、制約が非常に強くなります。
その制約の強さから、階段が「道空間」となることが難しいと考えました。
そこで、屋内の特別避難階段ではなく、
屋外避難階段にすることにしました。
屋外避難階段には、「開放性」などの制約があります。
「開放性」とは、「階段が屋外であることの規定」です。
推して、「四面のうち二面以上が外部に開かれている」階段です。
この「階段が屋外であることの規定」を逆手にとって考えました。
「開放的な階段の道空間」を
作ろうと考えました。
森と広場と階段の立体交錯
広場を囲む階段は、自然を楽しむ道空間になります。
2階廊下の階段と接続する場所に「第2の広場」をつくりました。
そして、二つの広場と立体街路の階段の空間が、相互浸透します。
中庭の空間が、小さな宇宙のような広がりを持ちます。
広場を囲む円弧の壁に穿たれた開口を通して、外部の都市空間を臨みます。
森は、建築と都市の結節点となります。
そして、森と階段が立体的に交錯する、広場と道の空間のパブリックスペースを実現しました。
完成写真は、下記からご覧ください。
「森のような建築」は”Wavering Glass”があります。
次回は上記リンクです。