模型を作ってデザインを進化〜ガレージと住宅を一体化・デザインを統一・部分と全体のイメージ・模型を眺めてデザインを展開〜|熊本の家のプロセス3・東京の建築設計

前回は「基本コンセプトから発展するイメージ〜テラスを都市に伸ばす・街に働きかける建築・白い板がひらりと浮遊したようなガレージ〜」の話でした。

目次

ガレージと住宅を一体化:デザインを統一

熊本の家:ダイアグラム(新建築紀行)

「シンプルな白い箱にヴォイド=外部テラスを貫入させる」基本コンセプトが決まった熊本の家。

さらに、建主から頂いた

依頼者

車二台分のガレージが
欲しいです・・・

ガレージの要望にお応えするために、「建築と一体化したシンプルな板のようなガレージ」を考えました。

東京都内の住宅では計画地のスペースのこともあり、「車一台分のガレージ」が多いです。

対して、地方都市は「車社会」のため、各家庭に自動車は二台以上あることが多いです。

そのため、地方都市では「車二台のガレージ」が多いです。

新建築紀行
茨城の家:外観(新建築紀行)

「茨城の家」の時は、敷地が広大だったので「車は比較的自由に駐車」できます。

そのため、ガレージの屋根をつけませんでした。

設計を始めた当初は、住宅本体の設計に集中して「ガレージは別」と考えていました。

ところが、建築が完成すると「ガレージの屋根」は結構大きな存在感を持ちます。

「シンプルでデザイン性が高いガレージ屋根」もありますが、どうしてもデザインの統一感がありません。

そこで、今回は「建築とガレージ屋根を一体化させて」デザインの統一を図ることにしました。

模型を作ってデザインを進化:部分と全体のイメージ

熊本の家:模型(新建築紀行)

そしてアイデアが固まり、内部空間をつくってゆき、スタディ模型を作って設計を考えます。

建築の設計の際、「全体から考えるか」「部分から考えるか」という話があります。

Yoshitaka Uchino

熊本の家は、どちらかと言うと
「全体から考える」が主体です。

これまでのコンセプト図をスケッチして考える過程で、内部空間も考えます。

子供部屋やリビングなどの具体的な部屋の構成を平行して考えています。

熊本の家:模型(新建築紀行)

ここまでくると、スチレンボードで作成するラフなスタディ模型を作成します。

Mana Muraki

プロポーションや
内部空間の構成・光の入り方などを考えます。

スタディ模型を経て、1/50の模型を作りました。

1/50の模型だと、170cmの人が34mmになるので、だいぶ小さく感じられます。

実は1/50の模型は作り込むと、プロポーションだけでなく様々な空間構成が実によく分かります。

Yoshitaka Uchino

この時点では、サッシュのサイズなど詳細は、
まだ変更の可能性があります。

もう少し大きなスケールの模型の方が分かりやすいですが、当初は1/50程度で検討を進めます。

模型を眺めてデザインを展開

熊本の家:模型(新建築紀行)

建築設計において、サッシュの配置・大きさはとても大事です。

そのため、模型やCGで検証を進める過程で、サッシュに関しては大きく変更する場合があります。

新建築紀行
熊本の家:寝室(新建築紀行)

熊本の家では、概ねサッシュもこの模型通りで進めました。

Yoshitaka Uchino

基本コンセプトの際に、
サッシュのイメージがあり、それを大事にしました。

既製品で1/50の人形がありますから、模型に入れてみると分かりやすくなります。

Mana Muraki

人が入るとスケール感がわかり、
模型が生き生きとしますね。

熊本の家では、外部ヴォイド以外にトップライトと内部のヴォイドの大きなポイントでした。

この家では、「2階の子供たちの様子が1階のリビングからわかる」コンセプトです。

そこで、空間を切り裂くようなヴォイドを配置しました。

熊本の家:模型(新建築紀行)

この模型では、そのヴォイドを表現しています。

「自然光がどのように入ってくるか」「内部空間でどのように見えるか」を考えます。

Yoshitaka Uchino

模型を作って、模型を見ながら、
考えます。

造作キッチンや家具・建具を作り込んで、しっかり表現しました。

Mana Muraki

内部空間の雰囲気が
よくわかりますね。

このようにして模型を眺めながら、あれこれ考えてデザインを展開・進化させてゆきます。

次回は上記リンクです。

完成写真は、下記からご覧ください。

新建築紀行

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