前回は「木材の強い生命力が感じられる犬山城の梁〜統一感ある木材の素材感・空間の秩序と素材・柔構造と剛構造〜」の話でした。
日本に強い多様性をもたらしている沖縄:実は広い日本の国土

今回は、沖縄県の旧海軍司令部壕を訪問した時の話です。
「比較的小さな国土」と表現されることが多い日本ですが、実は結構大きいと筆者は考えます。

米国は大きすぎる国土を持ちますが、南北の長さでは、日本は米国と同等とも言えます。
ただし、この「日本の国土の南北の長さ」には海を含んでいます。
そのため、「海・領海をどう考えるか」で国土の大きさは大きく変わると考えます。

北半球の北側にあるロシアは、二次元の地図では大きく表現されることが多いです。
世界最大の国土を持つロシアと比較しても、日本は相応に大きいと考えます。

欧州と比較すると、日本の国土の大きさは際立っていて、多くの欧州の国々よりも日本の方が広いです。
そして、この「日本の国土の広さ」を考える時、日本の様々な島々に思いを馳せます。
中でも、沖縄は本州とは全く異なる環境・風土であり、「別の文化圏」であることは間違いありません。
この沖縄の存在は、我が国の多様性に大きく貢献しています。
沖縄戦の巨大な爪痕が感じられる旧海軍司令部壕

この沖縄では、大変痛ましいことに、第二次世界大戦に「最初の本土決戦」を迎えた歴史があります。
米陸海軍に押され続けた第二次世界大戦末期、沖縄では凄惨な戦いが繰り広げられました。
軍人のみならず、多数の民間人も巻き込んだ戦いとなりました。
ここ旧海軍司令部壕では、その沖縄戦の際に、帝国海軍が使用した濠が残っています。

まずは、円形ボリュームの建物の中に入ると、沖縄戦の様々な写真や動画を見ることができます。

周囲には様々は碑が建築されており、「海軍戦没者慰霊の塔」があります。

この「慰霊の塔」は、小規模かもしれませんが「建築の一つ」と考えられます。

帝国海軍らしい
シンプルなデザインです。
「慰霊のための建築」は、デザインコンセプトが極めて重要であり、シンプルがベストです。


旧海軍司令部壕周囲には、「慰霊の塔」以外にも様々な碑が配置されています。
そして、これらの碑とメインの円形ボリュームが全体となって、「旧海軍司令部壕の建築」となっています。
次回は、旧海軍司令部壕の内部に入ってゆきます。