前回は「『有機的ヴォイド』の展開〜茨城の家からFloating Voidsへ・自然の光と風を呼び込む「有機的ヴォイド」・共鳴する内外のヴォイド〜」の話でした。
歩いて楽しい「道空間」:自然の光と風を感じる立体街路
建築設計の際には、「歩いて楽しい道空間」をつくることを心がけています。
戸建住宅では廊下を出来るだけ少なく設計しますが、部屋の構成上、廊下は出来ます。
単なる「部屋から部屋に移動する経路」
ではなく・・・
その空間を歩くのが楽しくなる
ような「道空間」の廊下をデザインします。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
石神井公園の集合住宅では、各住戸内の空間も重視しましたが、
エントランスから住まいへ
至る道空間を重視しました。
エントランスを入ると、中庭に立つ孟宗竹が見えます。
自然の光と
風を感じることができます。
建築に大胆に挿入された中庭の空間は有機的ヴォイドであり、広場でもあります。
この空間を生み出すのは、最も重要な設計コンセプトでしたが、
実は風致地区による
厳しい建蔽率をクリアするポイントです。
設計コンセプトと「法規をクリアするポイント」を兼ねた中庭は、とても思い入れがあります。
共用階段を中庭内部に配置し、中庭を上がり降りする際に周囲の石神井公園の森を感じられます。
計画地周辺の豊かな自然を
建築内に引き込むコンセプトです。
階段を上がり降りする際に、住まい手の方が「自然の光と風と森」を感じられる事を考えました。
いわば「自然の光と風を感じる立体街路」の道空間となっているのが、この階段です。
私たちは、石神井公園の集合住宅を”Void in a Forest”と呼んでいます。
「道空間」の展開:Void in a ForestからTwin Gableへ
現在、設計を進めている商業施設のTwin Gableは、木造の温かみを生かしたデザインです。
無機質な雰囲気になりがちな商業施設において、内部空間に自然の光と風が通るヴォイドを挿入しました。
光と風に溢れる
商業施設です。
このTwin Gableは、名称通り「二つの切妻建物」によって構成されています。
私たちは、この二つに分割したボリュームを隣接させて、「歩いて楽しい道空間」をデザインしました。
切妻屋根と切妻屋根の間に挟まれた空間は、梁が象徴的な空間です。
この屋外空間は「建築の外部」ですが、空間構成としては「建築の内部空間」となります。
この二つの切妻屋根の隙間のような空間が、建築全体の軸を構成します。
この商業施設に向かってゆく
軸となります。
それほど広くない、このささやかな空間は、活気ある道空間となることを考えています。
このようにVoid in a Forestで考えた「道空間」は、様々なプロジェクトにおいて、発展してゆきます。
このように「歩いて楽しい」道空間を
つくってゆきたいと思います。
次回は上記リンクです。