前回は「コンセプト模型〜コンセプトを明快な形に・リアルな模型とCG・顕在化したコンセプトから「見えてくる」こと〜」の話でした。
建築設計において極めて重要な模型:模型が持つ「真のリアリティ」
建築設計の際には、模型を作成することが極めて重要です。
設計・デザインした空間の状況を確認するためには、CGは非常に分かりやすい面があります。
上の模型とCGを比較すると、当然のことながら「似ていて、ほとんど同一」です。
2010年頃から、CGの再現性が高まり、現在では、場所や時間による自然光の雰囲気も正確です。
「建築の内部・外部に、どのように自然光が差し込むのか」は非常に重要なので、
ここまで、CGの太陽の位置・高さが正確だと、
自然光による影がよく分かります。
時間による「自然光のうつろい」の検証にもCGが役立つ傾向が出てきました。
一方で、「模型でしか体験できない空間のエッセンス」があることも事実です。
模型のスケールは、個人邸などでは1/50が多く、少し大きいと1/30のスケールです。
1/30くらいのスケールになると、かなり内部空間を作り込むことができるので、
模型による空間の
リアリティが強まります。
これらの模型を覗き込んで、内部空間の様子を確認できることもまた、模型の大事な役割です。
これらの「内部空間の確認」は、CGでも可能ですが、模型の方がリアリティがあります。
つくられる建築が「実際に建つもの」である以上、やはり「本物のリアリティ」が大事です。
この視点で考えた時、模型が持つ「真のリアリティ」は、設計の際に極めて重要です。
質感や色彩の再現に優れたCG:模型とCGのハイブリッド
私たちは、模型を最重視しますが、もちろんCGの方が良い面もあります。
模型にテクスチャーを貼るなどして、質感や色彩を再現することがありますが、
CGの方が質感や
色彩の確認はしやすい面があります。
そして、なんと言っても、CGでは「質感の変更」が楽な点が重要です。
模型で「質感の変更」をするのは時間がかかったり、一部破損することもあります。
対して、CGは「質感の変更」はワンクリックとまでいかなくても、簡単にできます。
ある部分を「木で作る・仕上げる」と決めた後に、様々な木の質感を確認できます。
そして、リアルな空間の中で「選んだ質感が、どのようになるか」をCGでチェックできます。
模型を見て、内部空間をイメージすることができます。
質感などと同様に重要なスケール感は、CG(パース)の方がわかりやすい面があります。
模型でリビングの机やピアノなども作れますが、CGでは、登録された雛形を配置すれば「すぐ」です。
さらに、配置する雛形によりますが、スケールなどが「より正確」に表現されるのがCGです。
これらのことを考えると、「模型かCGか」ではなく「模型とCGのハイブリッド」がベストと考えます。
「模型とCGのハイブリッド」ですが、やはり模型を「より重視する姿勢」が良いと思います。
例えば、建物の外観は、模型とCGで同様に表現できますが、プロポーションは模型の方が分かります。
この点で、私たちは「模型重視のCGとのハイブリッド」が最も良いと考えています。
模型とCGの長所を活かして、
今後も設計してゆきます。
次回は上記リンクです。