詳細な模型とデザインの発展・深化〜質感のある模型で建築空間を具現化・模型に人を入れる・大事なスケール感とプロポーション〜|熊本の家のプロセス4・東京の建築設計

前回は「模型を作ってデザインを進化〜ガレージと住宅を一体化・デザインを統一・部分と全体のイメージ・模型を眺めてデザインを展開〜」の話でした。

目次

質感のある模型で建築空間を具現化

熊本の家:ダイアグラム(新建築紀行)

建主の要望と計画地の状況などから、熊本の家の建築のデザインの基本コンセプトが決定しました。

白いボリュームに
テラスの外部空間が貫入します。

熊本の家:模型(新建築紀行)

そして、ラフな模型(スタディ模型)をつくって色々と検討した上で、1/50の模型を作りました。

1/50の模型では、質感を表現しない「ホワイトモデル」を作成することが多いです。

今回は、質感を入れて空間のイメージを具現化しました。

全体はホワイトの空間のイメージで、フローリングや本棚は木で作成します。

この「ホワイトと木」のイメージを具体的に検討するために、質感を入れました。

それほど大きな模型ではありませんが、
覗いてみると、建築空間が広がります。

こういう内部空間のイメージには、CGも良いですが、やはり模型の立体感には敵いません。

模型をたくさん作って、「模型の思考」が感覚として身体に取り込まれると、CGを見ても建築空間として立体化できます。

建築学科に入った当初は、

とにかく模型を
たくさん作りなさい!

と言われますが、模型を作ることは「建築設計の最も基本」で極めて大事なことです。

詳細な模型とデザインの発展・深化

熊本の家:1/30模型(新建築紀行)

今回は、大きな模型を作成して、さらに設計を詰めてゆく話です。

1/50の模型を建主にプレゼンした後、建主からのご要望をお聞きします。

そして、設計変更したり、
アイデアを発展させてゆきます。

自分たちで1/50の模型と睨めっこしながら、

ここは
こうしようか?

この辺りの
開口はこうしたらいかがですか?

など、社内の担当者みんなでディスカッションします。

そして、デザインはどんどんグレードアップし、精度を増してゆきます。

もう少し大きな模型、
1/30の模型を作りました。

模型を作るのが、とても好きなので
私が作成しました。

熊本の家:1/30模型(新建築紀行)

1/30の模型と1/50の模型では、大きさが約1.67倍の違いです。

普通の住宅の規模でも、1/30の模型となると、かなり大きくなり「見応えが非常にある」模型となります。

この違いは、とても大きいです。

この大きな模型を見ながら、デザインを発展・深化させてゆきます。

これだけ大きな模型になると、

ほとんど「実際の空間」として
感じられます。

模型に人を入れる:大事なスケール感とプロポーション

熊本の家:1/30模型(新建築紀行)

1/50の時は既製品の人形がありますが、1/30ぴったりの人形は既製品ではありません。

自分で作って、模型に入れてみました。

画像データの人型などを
印刷して、切り抜きました。

やはり、人が入るとスケール感抜群です。

棚などの家具も詳細に作り込んで、棚の高さや大きさまで検討できます。

熊本の家では、リビングの壁を少し傾けてみました。

そして、その傾けた壁面に造作で作る「天井までいっぱいの集成材の本棚」を設置しました。

この本棚の感じは
すごくリアルだね。

CGも空間が良く分かりますですが、大きな模型を作ることは、スケールやプロポーションの確認になります。

さらには実際にライトを当ててみると、自然光がどんな風に広がってゆくか分かります。

熊本の家:1/30模型(新建築紀行)

トップライトからの
自然の光がリビングに広がってゆきますね!

手前側左の壁面を斜めにしているので、空間に広がりがもたらされます。

新建築紀行
熊本の家:軸組模型(新建築紀行)

そして、この斜めの壁の内側はシューズインクローゼットになっています。

斜めの壁面が構造要素になっていて、
X,Y方向の両方の耐震性がアップします。

大きな模型は、見ているだけで楽しくなり、設計の検討にはとてもいいです。

リアルな模型と軸組模型を1/30のスケールに合わせて、構造設計者との打ち合わせでも使用しました。

柱・梁や筋交の位置などが、図面よりもよりリアルに感じられます。

こうして、設計は一気に飛躍してゆきます。

新建築紀行
本棚の柱:1/10模型(新建築紀行)

「本棚の柱」でも、大きな模型を作成し、この時は1/10からモックアップまで作成しました。

新建築紀行
本棚の柱:モックアップ(新建築紀行)

完成写真は、下記からご覧ください。

新建築紀行

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