前回は「全面ルーバー集合住宅の設計プロセス〜内部と外部で具体的に検証・全面ルーバー建築のメリットとデメリット・内部空間の自然光と視線〜」の話でした。
子どもの安全守る全面ルーバー建築:ルーバーの「横部材」のディテール

私たちが特許を取得した「全面ルーバー建築」の具体的な設計を進めております。
スタイリッシュな印象が強いルーバーは、様々な建築の実例があります。
模型やCGでは格好良く見えることが多いルーバーは、ルーバーを設置するディテールが重要です。
細長い部材が縦に並ぶため、適宜ルーバー材を固定する必要があります。
さらに上の様に、縦方向に並ぶ場合は、横方向の「揺れどめ」の部材を設置する必要があります。
本来ならば「縦方向のみの部材」でデザインしたいルーバーですが、横の部材も登場せざるを得ません。
この「横の部材」を上手くデザインしないと、ルーバーのデザインの見栄えは著しく落ちます。
パッと見るとスタイリッシュですが、よく見ると無様なデザインのルーバー建築も多数あります。
本発明は、以上の事情を鑑みてなされたもので、主として、小さな子どもが落下することを防止して子どもたちの生命を守り、安全性と防犯性が高く、日射の制御による省エネ性能を持ち、合理的な設計によって低コストで施工可能であり、羽根によるルーバー構造を具備する建築物を提供することを目的とする。
落下防止による安全性向上に関しては、手すり部の高さを高くする、などの対策も考えられるが、小さな子どもは、椅子などを台にして遊ぶ傾向があり、その結果、高さが高い手すりを超えてしまうことが多く、落下事故に至ることがある。
本発明は、テラスやバルコニー、または開口部において、主に子どもたちの安全性を確保し、さらに外部からの侵入への配慮によって防犯性を高め、日射の遮蔽に寄与することから省エネ性を高め、意匠性を高めることによる不動産価値が高い建築物を提供することを目的とする。
特許申請の際に記載した、ルーバー建築発明に至る課題は、上記のとおりです。
主に子どもを対象とし、安全性確保に加えて、防犯性・省エネ性の向上に加え、意匠性アップを目論みました。
集合住宅のリビングと個室の「全面ルーバー」の効果:CGによる具体的検証

前回は、リビングの内観をCGで検証しました。

今回は、リビングの異なる画角での検証をします。
バルコニーに平行に並ぶ対面式キッチンと、バルコニーを見た内観パースが上です。
ルーバーは正面から見ると細いですが、横方向から見ると存在感が高まります。

このパースにおいて、テラスと開口部のルーバーを削除したのが上の内観パースです。
ルーバーがない方が、視野は遥かに広がります。
その一方で、一般的な住宅地において、部屋からの景観はそれほどよくないことが多いです。
適度に日照を和らげ、防犯性も高まることを考えれば、ルーバー建築はメリットがあります。

上は、窓を全面的にルーバーで覆った、個室の内観パースです。

そして、上は、窓からルーバーを削除した内観パースです。
戸建住宅と異なり、マンションの個室は、明るい開口部を取れることは少ない傾向があります。
そして、リビング側がメインとなり、個室は脇役の扱いなので、景観や日光は制限される傾向があります。
そして、リビングよりもベッドやタンスなど、一定の高さの家具が開口部近くにあることが多い個室。
こういう個室において、子どもが誤って落下してしまう事故は実際に起きています。
これに対して、開口部全面にルーバーが設置されていれば、子どもたちの落下事故は、ほぼ全て防げます。
今後も、模型・CGなどで、多角的に全面ルーバー建築の具体的設計を検証してゆきます。
