前回は「木の温もりと自然が身近に感じられる住居型支援施設〜均等グリッドと市松状の小梁・均質性の中の多様性〜」の話でした。
光や風を生み出す有機的ヴォイド

木の温もりが感じられる柱梁のグリッド構造に、柔らかな曲面の壁によって空間を包摂する施設です。

均等グリッドによる
強い空間の秩序を、曲面の壁面が包みます。


均等グリッドの正方形の大梁の内部には、小梁を市松状に配置しました。
この「市松状の小梁」によって、様々な方向に耐震性が高まり、



小梁の向きの変化が、
空間に変化を与えます。


柔らかい曲面の壁に包まれた均等グリッドの内部を、矩形のヴォイドが貫きます。
この矩形のヴォイドは「有機的ヴォイド」となり、建築内部に光や風を生み出します。
木の均等グリッドと柔らかな曲面壁面のコンセプトドローイング


今回は、この「木の均等グリッドと柔らかな曲面壁面」のコンセプトドローイングの話です。
コンセプトドローイングを作成する際には、出来るだけ要素を削ぎ落として、シンプルにすることが大事です。



要素を削ぎ落として、
シンプルにするプロセスにおいて・・・



建築のアイデアの最も
重要な根幹が表出してきます。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
設計する際には、上記の5つのフィロソフィーから開始して、デザインコンセプトを作ってゆきます。
今回は、「柔らかな曲面の壁面」よりも先に、木の均等グリッドが先にありました。


この木の正方形均等グリッドにおいて、小梁を市松状に配置して、空間の変化を生むことを考えました。



この辺りで、曲面の
壁面を考え始めました。


均等グリッドの中に、箱状のアトリエやオフィスを配置して、建築の機能を満たします。



建主の要求した各部屋は、
シンプルな箱にしました。


そして、今回は、アトリエ・オフィスのボリュームの上部に、そのまま同型の箱を配置しました。
これらが、施設で生活する人々の居室となります。
この箱同士の間の空隙が、相互の空間のバッファーゾーンとなります。


そして、このバッファーゾーンに、矩形の中庭を挿入して、有機的ヴォイドを作りました。
箱同士の空間に、光や風が満たされるコンセプトです。


そして、最後に「柔かな曲面の壁面」によって、建築全体を包摂して、空間を生み出しました。



全体的にグリッドの秩序が、
かなり強い建築デザインです。



そこで、この「柔かな曲面の壁面」によって、
空間に変化と潤いを生みます。
設計のプロセスにおいては、これらのことを頭の中かスケッチで検討してゆきます。
このように、「アイデアをコンセプトドローイングで具現化」すると、デザインの密度が深まってゆきます。