「光と影が織りなす」イメージの具現化〜「光と影の回廊」のような階段・制約が多い集合住宅やマンションの設計・建築の経済性とデザイン〜|蚕糸の森アパートメント・光と影1

前回は「「光と影が織りなす」空間イメージとドローイング〜公園の自然の上を空中散歩するイメージ〜」の話でした。

目次

制約が多い集合住宅やマンションの設計:建築の経済性とデザイン

新建築紀行
蚕糸の森公園(新建築紀行)

広大な公園に面する、非常に恵まれた立地に計画された蚕糸の森アパートメント。

設計者の視線から考えると、胸が踊る気持ちになる計画地でした。

多額の資金が動く建築の現場では、経済性が非常に重要です。

特に集合住宅・マンションでは、建築に投入するコストを早期に、確実に回収する必要があります。

建築設計の現場ではコストが極めて重要であり、その「コストへの目線」が強いのが集合住宅・マンションです。

そのため、どうしても「建築基準法で許容される容積率(床面積)最大のボリューム」の設計を要求されます。

このように「費用対効果の最大化」を目指す場合、設計の自由度はある程度制約を受けることが多いです。

賃貸マンションにおける坪単価合理化の設計に関する話を、上記リンクでご紹介しています。

Yoshitaka Uchino

強い制約の中、
なんとかコンセプトを具現化したいと考えました。

デザイン・アイデアの5つのフィロソフィー:YDS

・揺らめく自然

・有機的ヴォイド

・道空間

・都市広場

・多様なる共生

私たちが考えている「デザイン・アイデアの5つのフィロソフィー」の全てを、設計に具現化したいと考えました。

「光と影が織りなす」イメージの具現化:「光と影の回廊」のような階段

新建築紀行
蚕糸の森アパートメント:イメージ(新建築紀行)

設計の早い段階で、上の様に、「目の前の公園の上空を散歩する」イメージを持ちました。

新建築紀行
蚕糸の森アパートメント:共用階段から臨む公園(新建築紀行)

そして、共用廊下を公園側に向けて、公園の空間を建築内部に取り込みました。

新建築紀行
蚕糸の森アパートメント:イメージ(新建築紀行)

公園の自然とともに、自然の光を建築の奥深くまで取り込みたいと考えました。

New Architectural Voyage
蚕糸の森アパートメント(新建築未来紀行)

階段の空間全体を、光と影が広がってゆくイメージです。

New Architectural Voyage
蚕糸の森アパートメント(新建築未来紀行)

階段の空間が、明るい自然光で満たされながら、コンクリート打ち放しの階段が強い影を落とします。

New Architectural Voyage
蚕糸の森アパートメント(新建築未来紀行)

このコンクリート打ち放しの階段によって生み出される影を、綿密に検討して設計を進めました。

こうして、階段のデザインを詰めて行き、最終的にイメージ通りの階段の空間となりました。

「光と影の回廊」のような階段です。

New Architectural Voyage

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